2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500293
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
江連 和久 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (20132904)
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Keywords | 呼吸中枢 / 呼吸性ニューロン / 漸減型呼息性ニューロン / 抑制性伝達物質 / グリシン / GABA / GLYT2 / 共放出 |
Research Abstract |
我々は現在、呼吸中枢ニューロン回路中の抑制性ニューロンについて、それらの伝達物質を同定する作業を進めている。つまり、グリシンとGABAのどちらを伝達物質として使っているのか、ということである。これまでに、グリシン性のニューロン、GABA性のニユーロン、両方を伝達物質として使用していると思われるニューロンを同定した。 実験方法の要点は、1)ラットを用いたin vivo実験で、機能を同定した単一ニューロンをニューロビオチンで標識し、2)そのニューロンが、グリシントランスポーター2(GLYT2)のmRNAとGABA合成酵素の異型体(GAD67)のmRNAのいずれかあるいは両方を保有しているかどうかをin situハイブリダイゼーション法で検出することである。 延髄のBotzinger complexという領域の漸増型呼息性ニューロンに、呼息相の維持に働く抑制性ニューロンであるが、グリシン性ニューロンであることが確認された。同じ領域の漸減型呼息性ニューロンは、吸息から呼息への相の切り替え時に働く抑制性ニューロンである。これもグリシン性であることが判明した。これらニューロンより尾側にも漸減型呼息性ニューロンが存在し、興奮性か抑制性かは不明であったが、一部はグリシン性の抑制性ニューロンであることが示された。 また孤束核には肺の伸展受容器入力を中継するニューロンが存在する。速順応型受容器の中継ニューロンにはGLYT2 mRNAもGAD67 mRNAも検出されず、これらは興奮性ニューロンである可能性が示唆された。一方、遅順応型受容器の中継ニューロン(これらの一部が抑制性ニューロンであることはすでに報告してある)はGAD67 mRNAを保有していた。さらにそれらの一部は、GLYT2 mRNAも同時に保有していることが判明した。すなわちこれらニューロンはグリシンとGABAを共放出するものと思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ezure, Tanaka, Saito: "Brainstem and spinal projections of augmenting expiratory neurons in the rat"Neuroscience Research. 45. 41-51 (2003)
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[Publications] Ezure, Tanaka, Saito: "Activity of brainstem respiratory neurones just before the expiration-inspiration transition in the rat."Journal of Physiology. 547. 629-640 (2003)
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[Publications] Saito, Ezure, Tanaka, Osawa: "Activity of neurons in ventrolateral respiratory groups during swallowing in decerebrate rats."Brain & Development. 25. 338-345 (2003)
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[Publications] Tanaka, Ezure, Kondo: "Distribution of glycine transporter 2 mRNA-containing neurons in relation to glutamic acid decarboxylase mRNA-containing neurons in rat medull"Neuroscience Research. 47. 139-151 (2003)
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[Publications] Ezure, Tanaka, Kondo: "Glycine is used as a transmitter by decrementing expiratory neurons of the ventrolateral medulla in the rat"Journal of Neuroscience. 23. 8941-8948 (2003)