2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500294
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
岩本 裕之 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門II・生物チーム・チームリーダー, 主幹研究員 (60176568)
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Keywords | 筋原繊維 / X線回折 / 急速凍結 / シンクロトロン放射光 / 昆虫飛翔筋 / 脊椎動物骨格筋 / 単離心筋細胞 / 微小領域 |
Research Abstract |
我々は2マイクロメートルのピンホールを用いて生成したX線マイクロビームを用いて硬直状態にある昆虫(マルハナバチ)飛翔筋の単一筋原繊維の含水試料からエンドオン回折像を記録した(岩本ら、Biophys.J.,2002)。本研究課題では、様々な種類の筋肉を用い、急速凍結した筋線維中の筋原繊維から微小領域回折像を記録した。試料は-184℃に冷却した液化プロパンに浸漬することにより急速凍結し、X線回折像記録は真空封止型クライオスタットを用いて試料を-199℃に保った状態で行った。X線源は大型放射光施設SPring-8のBL40XUビームラインである。急速凍結の利点は(1)より不安定な状態(弛緩状態、収縮状態)の試料からも微小領域回折像記録が可能であること、(2)長い照射時間が必要で、従って照射損傷を受けやすい微小な試料からも回折像記録が可能であることである。急速凍結試料は照射損傷に対する耐性が遥かに高い。例えば弛緩したマルハナバチの筋線維を急速凍結した。6角格子に由来する反射は以前に凍結しない試料から得られたものと同様に明瞭で、以前は観察されなかった2.1反射のような高次反射も明瞭に観察された。脊椎動物骨格筋線維の短いセグメント(0.3mm)と単離心筋細胞(0.1-0.2mm)についても単一筋原繊維相当の領域から微小領域回折像を記録した。少ない筋節数にも関わらず(昆虫の1000個に対して50-100個)反射は同心円状で、6角格子を思わせる反射は得られなかった。このことは脊椎動物骨格筋では筋節間の格子の揃い方が遥かに悪いことを示唆する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hiroyuki Iwamoto, Jun'ichi Wakayama, Takumi Tamura, Naoto Yagi: "X-ray cryomicrodiffraction of myofibrils"Biophysical Journal. 86(1). 567a (2004)