2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500310
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
服部 一紀 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50312848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 弘二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90272195)
宮本 啓一 三重大学, 工学部, 助教授 (70252343)
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Keywords | エラスチン / 人工尿管 / マトリックス / 再生 |
Research Abstract |
エラスチンマトリックスによる人工尿管を用いたブタ尿管置換モデル 生体吸収性のポリ乳酸ナノファイバーを伸縮性に対応できるように蛇腹加工した構造体を作製し、エラスチンチューブ内部に一体化させた改良型人工マトリックス尿管を作製した。家畜用ブタ8頭に対し全身麻酔下に中部尿管約4cmを切除し、切除後の欠損を上記人工マトリックス尿管を用いて置換した。4週から16週後に動物を犠死させ、置換した尿管部を肉眼的、組織学的に評価した。8頭中2頭が手術合併症により死亡した。残りの6頭については、摘出時の肉眼的所見として人工尿管周囲に強固な癒着と上部腎尿管の拡張を認めた。正常尿管部との吻合部狭窄は全例において認められたが、人工尿管自体の状況はケースバイケースであり、一定の傾向は認められなかった。6例中2例は肉眼的には良好な再生を示したと思われたが、組織学的には粘膜は認められず、筋層の発育も不良であり、炎症細胞は異物巨細胞を主体とする肉芽組織が認められた。残りの4頭では人工尿管部の著明な萎縮を認めた。以上のような上部尿路の拡張や人工尿管部に正常な再生過程が認められなった原因として、材料そのものの炎症や免疫反応惹起性の問題、吻合部からの尿逸流、吻合部における尿管の蠕動途絶による影響などが考えられる。今後、これらの点において更に改善を加える必要がある。具体的な案としては、人工尿管マトリックスに関しては、増殖因子等の徐放担体システムの組み込み、癒着防止のためのハイドロゲル材料の利用、更に手術の際縫合補強のためのコラーゲンなどの生体組織由来の接着剤の開発利用および人工尿管へのコーティングなどが考えられる。
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