2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖を持つポリアニオンでコートしたDNA複合体による遺伝子ターゲティングシステム
Project/Area Number |
15500324
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
小山 義之 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (00162090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教授 (30212278)
伊藤 智子 大妻女子大学, 家政学部, 助手
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Keywords | PEG / 三元複合体 / ヒアルロン酸 / ターゲティング / ポリイオンコンプレックス / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
糖側鎖、およびカルボキシル側鎖の両方を持つPEG誘導体、Sugar-PEG-Cを合成した。plasmid/ポリエチレンイミン/Sugar-PEG-C複合体による各種ライン化した細胞への遺伝子導入を試みたところ、β-ガラクトース残基を側鎖の末端に持つLac-PEG-CでコートしたPlasmidポリエチレンイミン/Lac-PEG-C三元複合体は多くの腫瘍細胞に対してPlasmid/ポリエチレンイミン二元複合体と比べて高い発現を示した。糖鎖の無いPEG-Cを加えた場合には、このような高い発現向上効果は見られなかった。 一方、酸性ムコ多糖の一種であるヒアルロン酸(HA)は様々な腫瘍化した細胞にその受容体が多く発現することが知られている。そこでSugar-PEG-Cの代わりにHAでDNA/ポリカチオン複合体の表面をコートし、得られたPlasmid/ポリカチオン/HA三元複合体によるCHO細胞への遺伝子の導入を試みた。HAによるコーティングはCHOに対する発現を3倍から30倍増強した。また、過剰のHA添加は発現を大きく減少させたことから、これらの三元複合体はCHO細胞のHA認識機構によって取り込まれ、高い発現を見せたものと考えられる。 また、Plasmid/ポリカチオン コンプレックスを赤血球浮遊液に加えると、血球は直ちに凝集したが、Sugar-PEG-Cまたはヒアルロン酸でコートした複合体は相互作用しなかった。また、Sugar-PEG-Cやヒアルロン酸によるコーティングはアルブミンによる凝集も効果的に抑制した。 糖鎖に接着する細胞膜タンパクの存在は、肝実質細胞や多くの腫瘍化細胞で認められており、このような三元複合体は、in vivoでのターゲティングが可能な新しい合成ベクターシステムとして有望と思われる。
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