2005 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを応用した頭蓋内圧・組織圧縮率・磁化率・脳温の非侵襲計測
Project/Area Number |
15500325
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
黒田 輝 東海大学, 電子情報学部, 助教授 (70205243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松前 光紀 東海大学, 医学部, 教授 (20209604)
厚見 秀樹 東海大学, 医学部, 助手 (30307269)
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Keywords | 脳 / MRI / 頭蓋内圧 / 組織圧縮率 / 温度 / 等価電気回路 / 逆問題 / 非侵襲 |
Research Abstract |
昨年度の研究では,MR流量測定と等価電気回路の逆問題解析に基づく頭蓋内圧・脳組織弾性推定の再現性に関する検討を終えた.推定において血流・CSF流撮像時の心拍周期のずれが誤差要因になることを明らかにすると共に,そのずれが流速の標本化周期よりも小さい場合には,両指標の分布が健常群と患者群で区分けできる可能性を示した.これらの点を踏まえ,本年度は以下の知見を得た. 1.血流とCSF流の撮像時における心拍周期のずれを除去するため,両流速を同時撮像するDual VENCシーケンスを試作し1.5T-MRIの実機に搭載して試験を行なった.血流とCSFの流速同時測定は達成できたが,各流速画像のSN比が各々を単独で撮像した場合よりも劣化し,頭蓋内圧指標ならびに組織弾性指標のばらつきがむしろ増大した.勾配磁場の最適化が十分でなかったためと考えられ,この点は今後の課題として残った. 2.血流とCSFを単独で測定したデータをNavie-Stokesの方程式に当てはめて,頭蓋内圧指標と脳弾性指標を求める方法を検討し,この方法による結果が等価電気回路の逆問題解法と定性的には一致することがわかった. 3.高分子・陽イオン・pHの異なる水溶液を作成し,水プロトン化学シフトの温度依存性を詳細に調べた.その結果,化学シフトの絶対値に関しては,アルブミン・リゾチームのようなタンパク質では濃度につれて高磁場側にシフトし,糖および反磁性金属イオンでは濃度につれて低磁場側にシフトすることがわかった.温度係数に関しては高分子ではタンパク質・糖ともに温度係数が正の側に変化(温度係数の絶対値は減少)した.反磁性イオンの場合も同様であった.常磁性イオンの場合は負の側に変化(温度係数の絶対値が増加)した.pHの影響は絶対値・温度係数に対して共に小さいと考えられた.これらの知見により脳温絶対測定においてはこれらの因子が影響しているものと考えられた. 本研究の成果を生かして今後さらに臨床実用を目指した検討を続ける.当面の課題はDual VENCシーケンスの最適化,心拍による脳実質拍動の精密測定とそれに基づく頭蓋内圧指標の改善であり,現在取り組みを始めている.
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Research Products
(6 results)