Research Abstract |
虚血後再潅流モデルの心機能に対する長期的運動および薬剤の効果と虚血プレコンディショニングの解析 【プロトコール1】長期的運動後に虚血後再灌流を行う。 正常血圧雄性WKYラットを用いた。ラット用トレッドミル装置で,1日1回,60分間ずつ週5回,4週間の運動負荷を行った。運動負荷開始後4週間に麻酔下で開胸し,左冠状動脈を30分間結紮し,再灌流した。次に,echocardiographyを導入し,in vivoで,左室拡張末期内径,前壁と後壁厚,左室一回拍出量,左室駆出分画(LVEF)を測定した。再灌流後4週間に,体重,収縮期血圧(SBP),心拍数(HR),尿量,心重量,心筋梗塞サイズ,虚血プレコンディショニング解析、urotensin-II mRNA, adrenomedullin mRNA,血漿MCP-1・BNP測定を行い,非運動群と比較した。その結果,非運動群に比較して運動群の左室拡張末期内径は低値でLVEFは高値であった。体重,SBP, HR,尿量,心重量,前壁と後壁厚,左室一回拍出量,MCP-1,BNPに有意差を認めなかった。 【プロトコール2】虚血後再灌流を行った後に長期的運動負荷を行う。 正常血圧雄性WKYラットを麻酔下で開胸し,左冠状動脈を30分間結紮し,再灌流した。その後,トレッドミル運動を1日1回,60分間ずつ週5回,4週間行った。次に,運動開始後4週間に,プロトコール1と同様の測定を行い,非運動群と比較した。その結果,非運動群に比較して運動群の左室拡張末期内径,尿量は低値で,LVEFとHRは高値であった。体重,心重量,SBP, MCP-1, BNPに有意差を認めなかった。 【プロトコール3】虚血後再灌流の前4週間と後4週間に長期的運動とアンジオテンシンII受容体拮抗薬投与の両者を行う。 正常血圧雄性WKYラットを用いた。左冠状動脈の30分間結紮,再灌流の前後に,1日1回,60分間ずつ週5回,4週間のトレッドミル運動とバルサルタン(10mg/kg/day)の投与を行った。次に,プロトコール1と同様の測定を行い。非運動群と比較した。その結果,非運動群に比較して運動群の尿量、体重は低値であった。SBP, HR,心重量に有意差を認めなかった。 以上より,解析は半ばではあるが,運動による心筋保護機序を解明する手がかりが得られた。
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