2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷及び脳梗塞ラットを用いた神経因性膀胱における排尿制御機構の検討
Project/Area Number |
15500371
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 輝 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40347109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信行 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40041454)
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20117493)
池田 聡 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00343369)
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Keywords | 脊髄損傷 / 脳梗塞 / ラット / 神経因性膀胱 / エンドセリン |
Research Abstract |
1.脊髄損傷ラットの作成とその排尿機能の検討 雌SDラットで、深麻酔下にT8レベルで脊髄損傷を作成。1日3回の用手圧迫排尿を行い2〜3週間後に深麻酔下に膀胱瘻を作成。翌日ラットを保定ケージ内に入れ生理食塩水を膀胱内へ持続的に注入し排尿反射を誘発させ覚醒下シストメトリーを実施。諸パラメータを対照群と比較した。脊損群では、1回排尿量、残尿量、膀胱容量の増加、低い排尿効率と高い排尿時膀胱内圧を示し、これは脊損群の排尿筋外括約筋協調不全(DSD)の状態を反映する結果と考えられた。また脊損群では排尿筋過反射も観察された。以上の結果より脊損ラットはヒト脊損後の神経因性膀胱で起こるDSDや排尿筋過反射の病態モデルとして有用と考えられた。 2.脳梗塞ラットの作成 雌SDラットで、深麻酔下にローズベンガルを静注し、大脳皮質へ560nmの光線を照射することで脳梗塞を作成した。現在脳梗塞ラットを代謝ケージ内に入れ、無拘束の状態での排尿量を経時的に調べ、本モデルが脳卒中後の過活動性膀胱のモデルとして有用であるかについての検討を行っている。 3.膀胱エンドセリン(ET)受容体の排尿反射への関与の検討 雌SDラットで、1.と同様の方法でシストメトリーを実施。ET-1の膀胱内注入による排尿間隔、排尿時膀胱内圧の変化について検討した結果、ET-1の膀胱内注入により濃度依存性に排尿間隔の短縮と排尿時膀胱内圧の上昇が認められ、またその作用はET_A受容体拮抗薬BQ123での前処置により抑制された。このことより膀胱ET受容体の活性化は膀胱知覚神経に興奮性に作用し排尿筋過活動の状態を誘発するものと考えられ、またその作用にはET_A受容体が関与するものと考えられた。現在脊損ラットでの同様の検討を行っており、さらに今後脊損後のET-1及びET受容体の膀胱における発現の経時的変化について調べる予定である。
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