2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損害及び脳梗塞ラットを用いた神経因性膀胱における排尿制御機構の検討
Project/Area Number |
15500371
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 輝 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40347109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00343369)
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20117493)
田中 信行 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (40041454)
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Keywords | 脊髄損傷 / ラット / メントール / シストメトリー |
Research Abstract |
1.摘出排尿筋収縮に対するメントールの作用の検討 SD系雌ラットの摘出排尿筋条片を用い、マグヌス法にてacetylcholine(ACh)、α,β-methyleneATP(α,β-MetATP)による収縮反応に対するメントールの作用を調べた。その結果0.1〜1mMのメントール存在下ではACh及びα,β-MetATPによる収縮反応が濃度依存性に著明に抑制された。 2.排尿反射に対するメントールの作用の検討 SD系雌ラットで膀胱瘻を作製し、ウレタン麻酔下で膀胱瘻から生理食塩水を注入しシストメトリーを実施。メントールの膀胱内注入による諸パラメーターの変化を調べた。またカプサイシン感受性C線維を脱感作したラットでも同様の検討を行った。その結果3mMのメントールの膀胱内注入により排尿間隔の有意な短縮を認め、カプサイシン感受性C線維を脱感作したラットでも同様な排尿間隔の短縮が観察された。 1.2.の結果よりメントールは摘出排尿筋の収縮反応に対しては抑制作用を示すが、生体への膀胱内注入ではカプサイシン感受性C線維に非依存的に排尿反射を誘発するものと考えられた。 3.脊髄損傷ラットの排尿反射に対するメントールの作用の検討 SD系雌ラットでT8レベルで脊髄損傷を作製。2〜3週後に膀胱瘻を作製し、覚醒下でシストメトリーを実施し、メントールの膀胱内注入による諸パラメーターの変化を調べた。その結果メントール3mMの膀胱内注入により膀胱容量は増加、排尿量は減少、残尿量は増加した。排尿時膀胱内圧には変化は認められなかった。これは脊髄損傷ラットではメントールの排尿筋収縮の抑制作用が主に現れることによると考えられ、この結果は間欠導尿により排尿管理を行っている脊髄損傷患者へのメントール膀胱内注入が膀胱容量の増加、失禁尿の減少といった臨床上の有用性を有する可能性を示すものであると考えられる。
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