2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500378
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
渥美 恵美 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 講師 (20326747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
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Keywords | 作業療法 / 精神障害 / 社会適応 / 評価法 |
Research Abstract |
我々が開発したASPOT(渥美・大渕、2002)を用い、作業療法(OT)場面で患者が示す適応行動の分析を試みている。複数の作業療法士(OTR)が同じ患者の適応機能を評定すると、評定者間にずれが生じるが、その原因は明らかではない。そこで本年度は、ASPOTを用い、精神科領域においてOTR間に判断のずれを生じさせる評定者バイアスの要因を検討し、あわせて、ずれが生じやすい適応機能について探った。文献調査により、評定者バイアスの要因としては評定者の経験度と性格特性などがある。また、行動から推論する必要がある精神機能や対人交流技能などに判断のずれが生じやすいと仮定した。精神科医療施設に入院している67名の患者に対し、7名のOTRが2人1組となり、同一の患者に対して同一のOT場面を行動観察し、ASPOT・S尺度を用い適応機能を独立に評定するよう依頼した。評定は同一患者に約3ヶ月のインターバルをおいて2回評定させた。評定者を経験年数によって2群にわけたところ、経験少群と多群のペアで評定をおこなっていた患者は1回目評定で36名、2回目は35名だったので、そのデータを分析に使用した。その結果、経験の長いOTRは1回目よりも2回目に患者の機能を高く評定したが、経験の短いOTRではこうした変化はなかった。前者は、患者の遂行水準の変化を的確に捉えていること、また、情報量が乏しく正確な評定が難しい状況(1回目)では、彼らは意図的に評価を厳しくすることによって、患者に本来必要なOT支援が抜けてしまう危険を回避していると解釈した。評定者間にずれが大きかった適応機能は、ADL(基礎的、発展的)、個人的要因(精神的機能)、問題行動(対人関係、精神的機能)などで、これらの機能は、OT場面以外の情報も統合して推測評定する必要があり、また、内面的機能であるため、評定者側で推論する必要があったことが原因と思われる。
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Research Products
(1 results)