2003 Fiscal Year Annual Research Report
早期の社会復帰の妨げとなる心筋梗塞患者の運動療法への適応障害を改善するための工夫
Project/Area Number |
15500383
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
増田 卓 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30165716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 彩 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (10337991)
松永 篤彦 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (00286387)
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Keywords | Cardiac rehabilitation / Exercise capacity / Autonomic nervous system / Muscle strength / Acute myocardial infarction / Activities of daily living |
Research Abstract |
【背景】虚血性心疾患患者の運動耐容能は、有酸素運動の心臓リハビリテーションに加えて、筋力トレーニングの併用によってより一層向上することが明らかとなった。筋力トレーニングでは、必要な筋力を患者の日常生活水準(ADL)に応じて評価し、筋力の目標値を設定することが重要である。 【目的】本研究の目的は、目標とするADLに応じた下肢筋力の目標値を明らかにすることである。 【対象と方法】回復期の急性心筋梗塞患者103例(61.3±10.0歳)を対象とし、トレッドミルによる運動負荷試験(Bruce法)を行って運動耐容能をmetabolic equivalents(METs)で表した。下肢筋力は、hand-held dynamometerを用いて測定し体重比(%BW)で表した。統計解析は、説明変数として患者背景因子と下肢筋力を用い、運動耐容能に影響を与える因子をロジスティック回帰分析で解析した。下肢筋力目標値は、感度と偽陽性率からReceiver-Operating-Characteristics(ROC)曲線を描き決定した。下肢筋力目標値の妥当性を検討するために、SF-36の身体機能のサブスケールをADLの指標として自己記入式にて調査し、下肢筋力とADLにおける障害(disability)の有無との関係について単変量ロジスティック回帰分析を行った。 【結果】7METs・10METsの到達可否を目的変数としたロジスティック回帰分析において、それぞれ下肢筋力は有意な説明変数であった。ROC曲線の感度と偽陽性率による検討では、7METsでは45%BW、10METsでは55%BWが信頼性の高い下肢筋力目標値として示された。下肢筋力とADLとの関係では、下肢筋力が5%BW上昇するごとにdisability発生の危険性が0,73倍になること、また、45%BWの下肢筋力を有していればdisabilityの発生率が21%に、55%BWでは13%に減少した。 【まとめ】7METsの運動耐容能を有していれば、ADLが支障なく行うことができるため、高度の心機能低下症例を除き達成すべき水準と思われた。10METsの運動耐容能を有する者は、軽スポーツを行うことも可能で、7METs以下の者に比べ生命予後が良好であった。よって、これらの運動耐容能への到達は心臓リハビリテーションにおける重要なアウトカムと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松永 篤彦: "入院期心臓リハビリテーションプログラム終了時の虚血性心疾患患者の下肢筋力と連動耐容能の関係"理学療法ジャーナル. 37・2. 156-162 (2003)
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[Publications] Takashi Masuda: "Protective effect of urinary trypsin inhibitor on myocardial mitochondria during hemorrhagic shock and reperfusion"Critical Care Medicine. 31・7. 1987-1992 (2003)
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[Publications] Chiharu Noda: "Vanadate improves cardiac function and myocardial energy metabolism in diabetic rat hearts"Japanese Heart Journal. 44・5. 745-757 (2003)