| Research Abstract |
本研究は,これまでの研究における実験方法上の問題を解消し,卓球一流選手を対象に,ボールの視覚情報による瞬時の動作修正のメカニズムを検討しようというものであった.検討課題は,以下の3つであった.
1)卓球一流選手における,打球のおよそ160〜180ms前のイレギュラーバウンドへの対応時の上肢の筋活動,ラケットの動き,上肢の動き,およびラケットコントロールに関する内観と,それらの相互関係
2)瞬時の動作修正と従来の運動制御理論との関係
3)瞬時の動作修正を説明できる運動制御モデル
3年計画の1年目にあたる本年度は,卓球経験者1名を対象とした予備実験を行ない,1.上肢の筋活動の測定法,および,2.ラケットの動きの測定法,の改良を以下のように行なった.
1.上肢の筋活動の測定法の改良
尺側手根伸筋,総指伸筋,円回内筋,および橈側手根屈筋を被験筋とし,表面双極誘導法により筋放電を導出する際,従来の装置ではノイズの除去が困難であった.そこで,EMGアンプを電極近傍に配置した表面筋電位測定装置を用いたところ,ノイズが少なくなり,その有効性が確認された.
2.ラケットの動きの測定法の改良
ラケット裏面に電磁位置角度検出用センサーを装着することにより,ラケット中心点の3次元位置およびラケット面の向き(基準座標軸に対するオイラー角)を測定する従来の方法では,センサーのコードが被験者の動きに支障をきたす場合もみられた.そこで,2台の高速度ビデオカメラで測定する方法を用いたところ,従来の方法と比較して,実験準備の時間は多少長くなったものの,実際の競技場面と同じ動きを対象に高精度なデータが得られるようになり,その有効性が確認された.
今後の展望
来年度には,本年度の研究で有効性が確認された方法により卓球一流選手を対象とした実験を行ない,必要なデータの収集を終了する.再来年度には,研究成果をまとめる.
|
