2003 Fiscal Year Annual Research Report
発育および運動に伴う筋肥大とmyostatin mRNAの関係
Project/Area Number |
15500456
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山口 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (50244869)
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Keywords | 発育 / 下垂体摘出 / myostatin / 筋肥大 |
Research Abstract |
本研究では,発育や運動に伴う筋肥大および筋線維組成の変化に対するmyostatinの役割を明らかにするために、今年度は発育期のラットに対し食事制限や下垂体摘出を行うことによって体重を様々に変化させ、その時のmyostatin mRNAの発現量を調べた。被験動物として5週齢のWistar雄性ラットを用い,1)正常発育グループ(NC)。2)食餌量制限により体重の増加を中程度抑制したグループ。(中程度食餌制限グループ:MFR) 3)食餌量制限により体重の増加をほぼ完全に抑制したグループ。(強度食餌制限グループ:SFR) 4)下垂体摘出により体重の増加をほぼ完全に抑制したグループ。(下垂体摘出グループ:HX)の4つのグループを作成した。4週間の経過観察の後、ヒラメ筋、足底筋,咬筋を摘出し、筋重量およびmyostatin mRNAの分析を行った。実験終了時の体重は、NC群200.8±17.9g、MFR群149.3±5.6g、SFR群96.3±6.1g、HX群95.8±3.7gであった。実験期間中の食餌量は、それぞれNC群14.7±1.5g、MFR群9.8±0.5g、SFR群6.1±0.1g、HX群6.8±0.5gであった。ヒラメ筋および咬筋の筋重量は、NC群が最も高い値を示し、次にMFR群、最も低かったのがSFR群とHX群であった。足底筋の筋重量はNC群が最も高く、MFR群、SFR群、HX群の順に筋重量は低い値を示した。myostatin mRNAは、遅筋タイプのヒラメ筋よりも速筋タイプの足底筋と咬筋において高い発現量を示した。ヒラメ筋と咬筋のmyostatin mRNAは、NC群、MFR群およびSFR群の間に有意な差が認められなかったのに対し、足底筋のmyostatin mRNAは、NC群と比較してMFR群およびSFR群において有意に高い値を示した。下垂体摘出によって、ヒラメ筋では、HX群のmyostatin mRNAはNC群、MFR群、およびSFR群と比較して有意に高い値を示した。しかしながら、足底筋では、HX群のmyostatin mRNAはMFR群およびSFR群と比較して有意に低く、咬筋では、HX群はNC群、MFR群およびSFR群と比較して有意に低い値を示した。このように,myostainは,ある特定の筋発達に対し抑制的影響を持ち、またその調節には、筋の活動量や下垂体系のホルモンが関与している可能性が示唆された。
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