2004 Fiscal Year Annual Research Report
発育および運動に伴う筋肥大とmyostatin mRNAの関係
Project/Area Number |
15500456
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山口 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (50244869)
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Keywords | 運動 / 筋肥大 / myostatin / insulin-like growth factor-I / 下垂体摘出 |
Research Abstract |
本研究では,発育や運動に伴う筋肥大および筋線維組成の変化に対するmyostatinの役割を明らかにるために,今年度は下垂体を摘出したラットの足底筋に対して協働筋である腓腹筋とヒラメ筋を摘出するという外科的運動モデルを用いて筋肥大を引き起こさせ,その時のIGF-I Ea mRNA, IGF-I Eb mRNAおよびmyostatin mRNAの発現量を調べた。被験動物として9週齢のWistar雄性ラットを用い,1)正常な下垂体を持つコントロールグループ(NC)。2)正常な下垂体を持ち,機能的過負荷を施されたグループ(NOL) 3)下垂体が摘出されたコントロールグループ(HXC) 4)下垂体が摘出され,機能的過負荷を施されたグループ(HXOL)の4つのグループを作成した。機能的過負荷21日後において,NOL群の足底筋の筋重量はNC群に対し有意に高い値を示し,またHXOL群の筋重量はHXC群に対し有意に高い値を示した。下垂体摘出によって,HXC群およびHXOL群の筋重量は,NC群に対し有意に低い値を示した。機能的過負荷3日後のNOL群のIGF-1 Ea mRNA,およびIGF-1 Eb mRNAは,NC群に対し有意に高い値を示した。また,HXOL群のIGF-1 Ea mRNAおよびIGF-1 Eb mRNAは,HXC群に対し有意に高い値を示した。機能的過負荷3日後,21日後とも,HXC群やHXOL群のIGF-1 Ea mRNAおよびIGF-1 Eb mRNAは,NC群に対し有意に低い値を示した。myostatin mRNAは,機能的過負荷3日,21日後ともHXOL群がHXC群より有意に低い値を示した。一方,機能的過負荷3日後のNOL群は,逆にNC群よりも有意に高い値を示した。機能的過負荷3日後のHXC群のmyostatin mRNAは,NC群に対し有意に高い値を示した。このように,IGF-1 Ea mRNA,およびIGF-1 Eb mRNAが機能的過負荷による筋肥大に対して対応した変化を示したのに対し,筋成長を抑制する因子であるmyostatin mRNAは,下垂体が摘出された条件にのみ対応した変化を示していた。このことはIGF-Iとmyostatinのどちらも機能的過負荷による筋肥大に対し,何らかの役割を果たしている可能性を示唆するとともに,myostatinの筋成長抑制効果が下垂体ホルモンと関連して発揮されている可能性が示唆された。
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