2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の上肢筋力トレーニングが下肢の筋系と末梢循環系の機能と構造に及ぼす影響
Project/Area Number |
15500465
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
矢部 京之助 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (50090410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴池 政明 大阪体育大学, 体育学部, 講師 (40298831)
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Keywords | 脊髄損傷者 / 筋力トレーニング / 筋系 / 末梢循環系 / 上肢 / 下肢 / 血流量 / 血管拡張能力 |
Research Abstract |
今年度は、日常的にスポーツ活動を行っている脊髄損傷者(15名)の上肢と下肢の筋系および末梢循環系の機能と構造について調査した。被験者の中、7名に対して8週間(5種目、10RM・3セット、週3日)の上肢筋力トレーニングを実施させ、トレーニング前後の変化を測定した。 結果は以下のようにまとめられる。 1.スポーツ活動を行っている脊髄損傷者の上肢・下肢の安静時血流量は、健常者とほぼ同じ値であった。麻痺部の下肢が健常者と同等であった理由は、日常のスポーツ活動の効果と推察された。 2.血管拡張能力は、健常者に比べ、上肢は優れていたが、下肢は劣り、拡張時間も延長する傾向が見られた。これは、脊髄損傷による自律神経機能の欠如が関連していると示唆された。 3.8週間の上肢筋力トレーニングは、上肢と下肢の筋系および末梢循環系の機能と構造に大きな変化を及ぼさなかった。これは、被験者の循環系機能が日常のスポーツ活動ですでに十分向上していたためと推察された。 4.4週間の筋力トレーニング後、血圧の上昇が見られた。4週間でトレーニングを中止した被験者は、その後4週間でトレーニング実施前の血圧値に戻った。8週間トレーニングを継続した被験者は、さらに血圧が上昇する傾向にあった。しかし、全被験者のトレーニング後の血圧値は正常範囲内であった。 以上の結果より、脊髄損傷者の日常的なスポーツ活動は、上肢の血管拡張能力を高め、下肢の安静時血流量を維持することが明らかになった。また、8週間の上肢筋力トレーニングは、上肢・下肢の筋系および末梢循環系の機能と構造に効果を及ぼすには至らなかった。これは、今回の被験者が現在継続しているスポーツ活動で上肢と下肢の筋系および末梢循環系の機能と構造が十分に発達していたためではないかと推察された。さらに脊髄損傷者が筋力トレーニングを行う際には血圧の管理が必要であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)