2003 Fiscal Year Annual Research Report
中高年者の「自尊感情とディストレス」に関する日本と中国の比較
Project/Area Number |
15500508
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松岡 英子 信州大学, 教育学部, 教授 (20126709)
|
Keywords | ディストレス / 自尊感情 / 中高年 / 高齢者 / 日中比較 / 介護ストレス |
Research Abstract |
本研究は日本と中国の中高年者の「自尊感情とディストレス」の様態を解明するものであり、自尊感情とディストレスに影響を与える諸要因をストレス研究の分析枠組みや測定尺度を用いて明らかにし、日本と中国の比較分析を行うことが主たる目的である。初年度である本年度は、次の4点に関して研究を行った。第1は、中高年者の生活実態を文献およびインタビュー調査から把握した。健康な中高年者、介護をしている中高年者、介護されている高齢者を対象とした。介護保険制度がスタートして、介護者や要介護高齢者のディストレスが軽減されたかについても検討した。インタビューでは介護負担が軽減した介護者が多くみられたが、それは収入階層と関連がみられ、低所得層ではディストレスが高まる傾向もみられた。第2は、既存の自尊感情尺度を収集し、それらの尺度を用いた研究結果を吟味した。最もオーソドックスな尺度とされているローゼンバーグの尺度は、簡便に査定できるというメリットはあるが、向上心やある種の前向きな態度が自尊感情を低めるというマイナス面をもっており、改良が必要であることが見いだせた。第3は、ディストレスの指標を検討した。個人の不快な主観的状態を示す概念であるディストレスは抑うつ・不安・身体的訴えなどによって測定されるが、本研究では抑うつを指標として採用し、ZungのSDS(Self-reporting Depression Scale)を基に本研究で用いる尺度を検討した。第4は、日本の高齢者の自尊感情とディストレスを分析した。長野県における老人大学の受講生を対象として配票調査を実施し、得られたデータを分析して本調査に備えた。ディストレスは10項目で捉えたが、おおむね良好な指標であると判断された。自尊感情については、いくつかの改良点が見出せた。その他、サポート項目設定に関する示唆を得た。
|
Research Products
(1 results)