2003 Fiscal Year Annual Research Report
正しい食習慣の確立のための食行動変容要因に関する研究
Project/Area Number |
15500546
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
早川 史子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30074066)
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Keywords | 大都市 / 飲行動 / 緑茶 / 紅茶 / 麦茶 / 烏龍茶 / コーヒー |
Research Abstract |
すでに阪神地区の女子学生の特徴は緑茶に対する嗜好性が低く,紅茶の嗜好性が高いこと,麦茶や烏龍茶の飲用率が高いことなどを明らかにしてきた. 柳田國男は「民族の嗜好は永い間の習慣によって,容易に改めることができぬという説は,日本には必ずしもあてはまらぬことが多い.都市はむしろ新奇なる物の味を,次から次へと訪ねていく傾向があること」を指摘している.阪神地区は東京と並ぶ大都市であり,しかも早くから欧米と交流のあった地域でもある.来客の飲み物として紅茶を強くイメージするようになったことの一因でもあろう.このような阪神地区の女子学生の特徴は阪神地区のどの世代にも共通する現象なのかどうかを明らかにするため,阪神地区で生育した人たちを対象として年齢階層別に飲み物の飲用状況を調べた.その結果,学生の緑茶の飲用率は25-39歳の50%,親世代である40-59歳の41%,60歳以上の26%程度であった.緑茶の飲用率について滋賀県と比較してみると学生および25-39歳と60歳以上では差が認められなかったが,40-59歳において阪神地区が方が低く,緑茶離れが40-59歳にまで拡大していることが分かった. これまでの調査から阪神地区の学生は紅茶の飲用率が高いことが特徴のひとつであったが,紅茶の飲用率を年齢階層別に滋賀県と比較してみると学生,25-39歳,40-59歳では阪神地区の方が有意に高く,60歳以上では差が認められなかった.従って阪神地区では60歳までの年齢層で滋賀県よりも紅茶がよく飲まれていることが分かった. 烏龍茶の飲用率は学生はいずれの年齢層よりも高く,学生世代に好まれる飲み物であり,40-59歳の年齢層でも滋賀県よりもよく飲まれていた。麦茶や麦茶は阪神地区では学生,25-39歳,40-59歳ではよく飲まれているが,60歳以上では低かった. コーヒーの飲用率は学生では低く,学生と25-39歳,40-59歳,60歳以上との間にそれぞれ有意差が認められた. コーヒー飲用率を滋賀県と比較してみると25-39歳,40-59歳,60歳以上で阪神地区の方が有意に高かった. 以上のように阪神地区のような都市では若者を中心とした飲み物の飲用実態が中年層にまで広がりをみせており,日本の将来の飲行動の方向性を知る上で貴重な資料を得た.
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