2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイタケ中の血栓溶解酵素の生体内における効果について
Project/Area Number |
15500567
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Research Institution | Kacho Junior College |
Principal Investigator |
豊原 容子 華頂短期大学, 生活学科, 助教授 (50241211)
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Keywords | マイタケ / 血栓溶解 酵素 / フィブリノーゲンザイモグラフィー |
Research Abstract |
我々は、平成9年〜11年に科学研究費補助金の交付をうけ、フィブリノーゲンザイモグラフィー法を主体として各種食物中の血栓溶解酵素を検索した結果、キノコ中に極めて強い血栓溶解酵素が存在することを明らかにした。今年度は、なかでも活性の極めて高いマイタケの生体内での挙動について検討するため、本酵素の精製を試みると共に、加熱や消化酵素に対する活性の変化について検討をおこなった。 本酵素は、抽出段階でpH2.7から8の幅広いpHのバッファー中で長期間保存しても高い活性を保っていた。またトリプシンによる消化実験を行ったところ、トリプシン濃度1mg/mlで90分処理後も活性が残存していた。以上の結果などから、粗抽出液の経口摂取により体内への本酵素の移動が可能なのではないかと考えられたことから、マウスを用いた経口投与予備実験を行った。マウス(C57BL/6CrSlc、12週齢)に、本抽出液を30%混合した水を1ヶ月間自由摂取させた。飼育終了後、心臓より採血し血清中の本酵素活性をフィブリノーゲンザイモグラフィーにより検索したが、明らかな活性は検出できなかった。今回は給水により投与したことから、正確な摂取量が把握できなかったので、今後本酵素の精製を行い、投与濃度や投与方法を変えて実験を行なっていく予定である。 一方、粥状動脈硬化において血栓が合併しやすく、その原因としてコレステロールが重要な役割をはたすことが知られている。特に、粥状動脈硬化の進展において、マクロファージの泡沫化が関与すること、またこの原因としてスカベンジャーレセプターにより取り込まれる酸化LDLが関与していることなどが明らかにされている。そこで、本酵素と動脈効果との関連性について、スカベンジャーレセプターの発現から検討を試みた。ヒトマクロファージ様細胞THP-1にマイタケ抽出液を加えた培養液で24時間incubateしたが、酸化LDL受容体であるSR-PSOXの発現上昇はみとめられなかった。引き続き精製物でスカベンジャーレセプターとの関連性についても検討をおこなっていく方針である。
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