2005 Fiscal Year Annual Research Report
数学的言語に依存しない思考活動をベースにした算数・数学の授業に関する研究
Project/Area Number |
15500581
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Research Institution | UNIVERSITY OF FUKUI |
Principal Investigator |
柳本 成一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (20042971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 敏和 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (70212777)
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Keywords | 授業原理 / 推論の"表現フレーム" / "3人の自分" / 触覚情報 / 共同思考 / 図形指導 / 論理構成活動 / 論理構成活動の比較 |
Research Abstract |
数学者は集団として(各人が意識する・意識しないに拘わらず)共同で複数の論理の流れを同時に構成しながら今日の壮大な論理体系を構築してきた.それ故に,HFreudenthal(オランダ)が1980年に提起した"数学教育の大問題"の求めている授業も,子ども達が集団として複数の論理の流れを同時に構成していくような授業になっていなければならないと考えられる.このことに注目して行われた本研究の本年度における主たる研究の成果は,次の[I],[II]に要約することができる. [I]大野市有終西小学校における授業実践とその成果を踏まえた,次の(1)(2)を満たすような算数・数学の授業原理の確立 (1)数学的言語に依存しない思考活動と数学的言語に依存する思考活動が互いに他を高め合う. (2)子ども達が個人・共同で複数の論理の流れを同時に構成していく. 上記の授業で行われる学習活動は,数学的言語に依存しない思考活動として触覚情報に基づく思考を行い,数学的言語に依存する視覚情報に基づく思考との結合を行う活動である.その活動は,子ども達が頭の「中」と「外」で複数の論理の流れを同時に構成ししていくことが求められる活動になっている. [II]論理構成活動を困難にする原因の解明 子ども達が自らの手で論理の流れを構成していく5段階から成る活動の流れを,思考活動の"表現フレーム"を使って表現し,その流れの中に,従来より行われて来たさまざまな算数・数学の授業における論理構成活動を投影させたところ,どの論理構成活動にも5段階の中の幾つかの段階が欠落していることがわかって来た.このことが,数学的論理構成活動を困難にしていたと考えられる.
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Research Products
(2 results)