2005 Fiscal Year Annual Research Report
授業方法の違いが実験結果の解釈のしかたに及ぼす影響
Project/Area Number |
15500583
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
平賀 伸夫 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (90345934)
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Keywords | 同定 / 金属 / 密度 / 測定 / 授業方法 / 実験結果の解釈 |
Research Abstract |
密度測定による金属同定は,密度の測定値と文献値との比較によりなされる.測定値には測定誤差が含まれるため,測定値と文献値が一致するとは限らない.同定するには,同定可能な測定値の範囲(同定可能範囲)を設定する必要がある.同定可能範囲の設定のしかたは,同定のために参照する特定金属の密度(特定値)に依存するタイプ(特定値依存型)と,特定値と数値が隣接する密度(隣接値)に依存するタイプ(隣接値依存型)に区別できることが見出されている. 今年度,学年進行による同定可能範囲の設定のしかたの変化を分析した.昨年までの検討でデータ数の少なかった高等学校1〜3年生を対象に,同定可能範囲の設定のしかたを調査した.今回の調査により,中学1年生から大学1年生までのすべての学年の結果がそろった.各学年の結果を用い,特定値依存型と隣接値依存型の人数の比率,および,それぞれの特性について,学年進行による変化をみた.その結果,結論に対する自信の程度が低い場合,隣接値依存型が増加するという実態,特定値依存型は同定可能範囲を特定値に対して-側と+側に対称に広げるという実態,隣接値依存型は同定可能範囲を隣接値方向に広げるという実態は,中学1年生から大学1年生までかわらないことが見出された. 自信の程度で,同定のしかたをかえること,同定可能範囲が伸縮することは,望ましい同定のしかたとはいえない.しかし,このような実態は,中学1年生から大学1年生までかわらないことが示された.望ましい同定のしかた,測定値の解釈のしかたを身につけるという視点から,中学校,高等学校理科カリキュラム,指導方法を見直す必要がある.
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