Research Abstract |
本年度は,主として河川環境に関する基礎データの調査を行った。竹下は水生生物の生息状況,古賀は水質,山崎は地形および河川形態ならびに河川内の人工構造物について調査した。まず,東広島市黒瀬川流域の河川および溜池からそれぞれ15地点,計30地点を重点的に生物や水質の調査を行う調査地点として抽出した。抽出に際しては,山崎の調査結果を元に特色ある地形,河川内構造物周辺といった周囲の環境に加え,児童生徒が活動することを念頭に学校からの距離も考慮した。水生生物の調査では,30地点のうち14地点について調査を行い,魚類16種,両生類5種,爬虫類3種,甲殻類4種,貝類3種,昆虫類22種を確認した。これらの生物種やその生息環境についてはデジタル画像で記録した。水質調査では水温,電気伝導度,溶存酸素量などJIS規格に基づいた25項目および簡易測定法による12項目について測定した。また,調査方法の解説のため,調査用具・器具およびそれらの使用方法や調査風景も静止画あるいは動画データとして記録した。朝倉は児童生徒ならびにその家族の自然観や環境意識についてアンケート調査を行うため,東広島市における黒瀬川流域の小学校・中学校の中で協力校を抽出し,次年度へ向けた準備を行った。以上のデータ収集と平行し,流域圏での河川環境学習に関する実践プログラムを考案し,WEBページ「河川環境マップ(仮称)」を作成中である。本WEBページは活動地点が地図上にプロットされ,その地点のデータを参照できるだけでなく,調査方法やより高度な専門的内容についても解説されており,児童生徒やその指導者が利用したり,流域圏の地域への情報発信の役割も果たせるようなものとした。さらに,本研究の活動は児童生徒にとって教科以外の内容を多く含むため,その理解を助ける一手段である展示教材の効果についても検討し,研究論文とした。
|