2003 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒の時間概念がグラフ認知過程におよぼす影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
15500595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
土田 理 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (10217325)
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Keywords | 時間概念 / グラフ認知 / 小学校理科 / 中学校理科 / 小学校算数 / 中学校数学 |
Research Abstract |
平成15年度は,以下の内容に焦点を当てた。 1)小学校,中学校で使用されている理科,算数・数学の教科書中における時間と位置,速さについての定義とその学習過程の比較分析。2)児童・生徒を対象とした,時間と位置,速さの関係についての認識調査。 実績内容 1)について 小学校理科5年では速さの定義がなされないため,速さの変化に議論が及ぶものの位置の変化と時間の関係については曖昧のままに扱われている。小学校算数6年の速さの内容で,学習指導要領で述べられている「速さの求め方を考え,それを求めること」が扱われていな教科書があり,使用する教科書によって学習内容に差が出ることが予想される。中学校数学2年の一次関数では時間と位置から速さなどを考える内容は扱われているが,グラフの横軸に時間を取ることの意味を考える内容は見られない。中学校理科第一分野では,等速運動のグラフは扱われているが,速さの定義を理科として再確認する内容は含まれておらず,算数・数学での学習に完全にゆだねている。また打点タイマー記録から運動のグラフを求める実験では,打点タイマーのもつ問題点は考慮されていないままである。 2)について 小学校3年生から中学校3年生を対象として,時間と位置,速さの関係についての質問紙とインタビューによる認識調査を行うための,評価問題の構成を行った。この調査問題は(1)移動の視点を被験者に置き実際に移動する場合(2)実際の移動経験から予想を行う場合(3)模型の車を動かした時のグラフの予想と根拠,から構成されている。また,児童の会話記録分析自動化にむけて予備実験を行った結果,音声処理ソフトウエアの認識トレーニングパターンが授業中の会話パターンとかけ離れているため,従来と同じ音声記録方法では自動化はほぼ無理であることが判明した。今後,児童会話用トレーニングパターンの開発可能性を検討する必要がある。
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