2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会システムのデザインとしての技術開発および技術教育に関する研究
Project/Area Number |
15500596
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
川床 靖子 大東文化大学, 文学部, 教授 (90119412)
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Keywords | 社会システムの再編 / 修理技能の再編 / 複写機の小型化 |
Research Abstract |
複写機メーカーA社の製品開発部門と修理・メンテナンスを行うサービス・エンジニアリング部門において,同行,観察,インタビュー調査を実施した.A社は1970年代に複写機の小型化,多機能化を目標に開発を進め,1990年代には小型で多機能な機種を次々と市場に送り出した.マシンの小型化を可能にした技術として,電子回路のIC化(集積化)によるコントロールボードの薄型化があげられる.製品の多機能化と多機種化を可能にした技術として,機械部品の分解・取り付けにおける"調整幅"の縮小があげられる.電子回路のIC化と調整幅の縮小は,さらに,構造面でのユニット化をもたらした.このような複写機開発における設計,構造,製造技術上の変化は,修理に携わるサービスエンジニアの知識・技能を再編した.従来,サービスエンジニアはカンと経験とテスターをたよりにトラブルを特定し修理を行っていた.しかし,90年代後半にはトラブル箇所の部品ごと,ボードごと,ユニットごとの交換が可能になり,カンと経験とテスターに代わって当該トラブルに関連する情報をいかに速く収集するかがポイントになってきた.また,オフィス環境のネットワーク化が進展する現在,エンジニアにはトラブルの切り分け,つまり,プリンターなど周辺機器とパソコン,ネットワークのいずれにトラブルの原因があるかを特定し,修復する知識・技能が求められている.マシンの変化は修理技能の再編を伴うのである.さらに,修理技能の再編はサービスエンジニアの活動と社会的関係に大きな変化をもたらした.このように,マシンを開発することは,機械自体やテクノロジーに変化をもたらすだけではなく,社会システムを再編,デザインすることなのだと判明した.
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Research Products
(2 results)