2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポートフォリオ評価の実証的研究(その2)-教科学習での活用とデジタル化の試み
Project/Area Number |
15500619
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
寺西 和子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80030039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 恭子 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (70345940)
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Keywords | ポートフォリオ評価 / デジタルポートフォリオ / 卒業ポートフォリオ / ルーブリック / 評価基準 / 相互評価 |
Research Abstract |
「ポートフォリオ評価の実証的研究その2」について、2年目に入り、大きく2つのポートフォリオ評価についての実践研究の資料を入手し分析を行った。1つは「国語科」デジタルポートフォリオと大学院での「卒業ポートフォリオ」である。 1)本研究は開発的な特色が強く、まずは学校現場での実践づくりというaction researchの方法を用いて、子どものコンピュータスキルを育てることと平行させ関係づけながらデジタルポートフォリオを作成し分析した。小学校4年生の国語科の授業で、1年間を通して、個人PCを活用したデジタルな「新聞づくり」を実施した。4月と5月は、週3回程度「朝の帯時間(15分)にローマ字入力のタイピングを習得させ、5月末から12月まで、総計12枚の「新聞づくり」を実施した。そこには、国語で学んだ事柄を学習のまとめとして再構成していった。そうした一人一人の子どもの学びの再構成としての「新聞づくり」という「縦の時系列」(sequential)の「学びの軌跡」として、データベース化していく機能と、各学習場面でのクラス全員の子どもの考えや疑問を共有化していく「横の断面的」な「学びの共同体づくり」という二重の働きをポートフォリオに持たせて実施した。こうした三次元のデジタルポートフォリオの活用は、単なるデータベースの働きを超える授業づくりに生きる「ユニークな取り組み」であり、開発的実践研究の枠組みが明らかになった。 2)アメリカの現職教員の大学院(Missingun State University)での院生の「卒業ポートフォリオ」の実物を入手し、その作成過程について分析を行った。明らかになったことは(1)大学側の作成ガイドラインの必要性と項目(2)評価の基準と自己評価・相互評価・教官評価という複眼的評価、その作成の方法として(3)目次と選択理由(artcraft)(4)含まれる内容としてのレポートやaction researchや自作カリキュラムや教材等である。大学側で提供している(30単位-1授業は3単位)のうち、10の授業を選択し、再構成して、卒業ポートフォリオを作成していくプロセス等が明らかになった。このことは、今後、日本でも多くの現職教員の入学が期待される中で、彼らの研究や実践に基づく学びをどのように構成し、評価していけばよいのかということを考える上で、参考になり有益なものと考えられる。卒業ポートフォリオの作成「枠組み」が明らかにできたことは大きい。
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Research Products
(2 results)