2003 Fiscal Year Annual Research Report
複数教員によるデジタル・ティーチング・ポートフォリオを用いた大学授業の開発過程
Project/Area Number |
15500639
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三尾 忠男 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (20219596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 和彦 メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (50198751)
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Keywords | 高等教育 / 授業開発 / 授業改善 / 授業評価 / ティーチング・ポートフォリオ / FD |
Research Abstract |
新規に授業を担当する非常勤講師と経験を積んでいる専任教員という立場を踏まえ、授業の構成要素に着目し、授業を実施する施設や投備、利用できる学習環境、教育担当者の状況や立場等も含め、日常的にデジタル・ティーチング・ポートフォリオ(以下TPと略す)を作成し、取り扱う内容や教授デザインに踏み込んだ授業開発と改善に取り組んだ。授業を設計する段階から実施・評価・改善にいたる段階まで、利用した素材、考え方や状況等を記録するとともに、電子メディアを主にした意見交換を行い、その内容を分析することで、「バーチャル・ユニバーシティ」と呼ばれるような高等教育の組織体を想定し、学生のニーズや実態に合わせつつ、専門領域としての適正な「授業」を設計・実施・評価・改善する方策を模索している。 取り扱う内容、授業展開の方法、教材開発のための基礎資料、開発した教材、授業実施時のビデオ記録(毎回)、学生による授業評価調査(毎回)、授業実施前後における授業者による自己評価、授業の相互参観と意見交換の記録等をTPとして共有する。新規担当者はこれまでに実践された「授業」に関するTPを活かした(効率的な)授業の設計を行うことができ、経験を積んでいる専任教員も授業参観や新規担当者からの質間や意見を取り入れた授業改善を行えた。専任教員が、自らの経験から実施することが難しいと判断していた「大人数クラスにおける演習(作業)」について、「新規担当者がチャレンジした結果、予想通り授業に混乱が見られたが、その事象そのものを題材として扱ったことで学生の興味や関心を引き出すことに成功した」例などを観察することで見直すことになった。専任教員が、新規担当者の相談に積極的に対応することで、新たな改善点を見出したことは、注目に値すると考えられる。これらの成果として、2004年度講義要項に反映し、2年次にその実践を通じてさらに効果を分析研究する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 三尾忠男: "大学授業の開発・改善過程における授業評価調査の機能"日本教育工学会第19回全国大会講演論文集. 511-514 (2003)
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[Publications] 波多野和彦, 三尾忠男: "実践的アプローチによる協調的授業開発の試み"情報メディア学会第5回研究会発表資料. 25-28 (2003)