2004 Fiscal Year Annual Research Report
近世から近代に至る日本の化学用語の起源と定着過程の総合的研究
Project/Area Number |
15500661
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Research Institution | TOYO University |
Principal Investigator |
菅原 国香 東洋大学, 工学部, 教授 (50058088)
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Keywords | 宇田川榕菴 / Atoom / 酒精 / 橋本宗吉 / 元素 / 桂川甫策 / 化学入門 / フレゼニウス |
Research Abstract |
1.橋本宗吉は『蘭科内外三法方典』(1805)で薬品の「アルコール」の呼称を音訳し、かつ「純粋酒精」と訳したのは、原本のW.van Lis,Pharmlacopoea...(1747)で"Alcohol,Zuivere Geest van Wyn"を訳したもので、アルコールの別記「酒精」の語の起源も明確にした。 2.宇田川榕菴が、1828年にJ.J.Plenck,Grondbegiselen der Scheikunde(1803)を全訳した稿本(『舎密加総論』)の対比をし、元素概念を確実なものにした過程をみた。反面「単元素」「複元素」の概念を得たため、原子概念を学習したときに、「元素」と「原子」の区別を理解しきれずに、「Atoom」は訳さず「元素」で置き換えるような思考にとどまった(2)。 (1)「元素」の語を造語するにあたり、榕菴は『榕菴随筆』(1823-9)で、「素字を「ストフ」ニ充る證」として「正字通云白練也又質素又器皿〓〓之樸日素俗作〓」として、「Stof」にあてる「素」について、中国の明代の辞書『正字通』の「素」の項目説明を引用して、意味を確かめて、「元行」の「行」にかわり「元素」の語が造語なされたことを再検討した。 (2)『榕菴先生和蘭遺書』の「Atoom」の項目は、Gt.Nieuwenhuisの百科事典Algemeen Woordenboek van Kunsten en Wetenschappenの1820年の「A-B」巻の"ATOOM"の項目の説明を写し、一部和訳したものである。榕菴は、ここで、原子概念を学習したが、「元素」と「Atoom」の区別を理解できず「Atoom」に対する訳語は造語しなかった。 3.竹原平次郎抄訳『化学入門』初編(1867)桂川甫策・石橋八郎訳・加藤宗甫訳『化学入門』外編後編1-10巻(1869-73)は、従来J.Girardinの蘭書(1851)からの訳であるといわれたが、それは、間違いで、今回は原本の一つC.R.Fresenius,Leerboek der Scheikunde,door F.A.Enkaar(1852)からの翻訳がなされている部分(後編第9巻)を対比し明らかにした。
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Research Products
(2 results)