2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間の近接性に関するマルチレベル・モデリング研究
Project/Area Number |
15500679
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
水野 勲 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (50209764)
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Keywords | 都市空間 / 近接性 / 階層性 / マルチレベル / コンテクスト / 非線形性 / スケール / 局所性 |
Research Abstract |
都市空間におけるさまざまなサービス施設への近接性の地域的不均等を解決するためには、どの交通・通信ネットワークを強化すべきか、どの地点にサービス施設の立地を促進すべきか、が重要な課題となる。しかし、従来の立地分析の多くは「線形」の距離概念に基づいているために、複雑化した都市空間の近接性を論じるには十分ではない。本研究では、スケールに依存した距離の見方をもつマルチレベル・モデリングのアプローチを、地理情報システム(GIS)とともに用いて、多様な交通・通信手段の結合、社会集団の多様な属性を考慮した近接性概念を作り上げ、その有効性を都市システムにおいて実証分析した。 まず、フラクタル、カオス、自己組織化の考え方が、都市システムの生成の理解にどのように役立つかを検討した。その結果、距離に比例した近接性の考えではなく、スケールに依存した近接性、また局所空間で定義される近接性の重要性が明らかとなった。次に、従来の都市モデルの典型としてエントロピー最大化モデルを取り上げ、このモデルが統計力学のアナロジーに基づいているために、現実の都市空間を説明するのに十分ではなく、マクロ、メソ、ミクロの各スケールを線形的に結びつける考え方の限界を示した。今後の都市モデリングでは、開放システムを考慮に入れ、またマクロ・レベルとメソ・レベルで定式化される内容が、線形結合でない形で行われるべきことを述べた。さらに、都市システムの時空間収束を説明する方法としてMDSとQ分析を比較し、MDSによる2次元布置空間は都市間の近接性を連続写像として捉えるものであるのに対して、Q分析による連結性空間の記述は都市の局所空間の他に、都市間の関係における結節化、従属化、連担化、孤立化といった質的関係を捉える可能性があることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)