2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本と韓国の大規模干拓事業をめぐる環境問題論争への地理学的アプローチ
Project/Area Number |
15500684
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
淺野 敏久 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00284125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 幸弘 専修大学, 文学部, 教授 (30181134)
金 科哲 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10281974)
伊藤 達也 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (60223161)
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Keywords | 環境問題 / 大規模干拓 / 日韓比較 / セマングム / 諫早湾 / 干潟 / 地理学 / 環境運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本と韓国のそれぞれで社会問題化した大規模干拓事業を取り上げ,それをめぐり展開される環境論争を分析し,それぞれの国において,いかに環境問題が構築されるか,その際にいかなる利害関係,地域的背景があるのかを明らかにすることである。3か年計画の初年度は,主たる比較対象とした韓国セマングムと日本の有明海において関係者ヒアリングを含む1回目の現地調査を行った。 セマングムは韓国西南海岸(全羅北道)で進められている干拓事業地の名称である。33kmという世界最長の干拓堤防で仕切られた4万haという大規模開発は,自然環境のみならず地域の社会・経済に多大な影響を及ぼす。これへの反対運動は全国的な激しい運動で,環境団体・社会団体・宗教団体等が連携して進めている。これに対して全羅北道の行政・産業界・住民も大きなまとまりになって事業推進運動を進めている。この問題は核廃棄物処理場誘致問題ともからみ韓国の大きな政治問題のひとつになっている。 調査では,セマングムの現状を確認するとともに,関係者からの聞き取りや文献資料等の収集を韓国において行った。また,これに対比されることが多い長崎県の諌早湾干拓事業に関連して,有明海沿岸の関係者からの聞き取りや資料収集を行った。現時点では各人がそれぞれのテーマに沿った情報収集を行っている。ただし,調査にはほぼ全員共同で行動し,必要に応じたミーティングも適宜実施するなど,情報・意見交換を密に行っている。 初年度なので成果報告はほとんどしていないが,代表者の淺野は年度末に人文地理学会地理思想部会の例会において,「環境問題研究における地域論的分析視角-国内事例研究並びに日韓の環境運動比較から-」を発表し,環境問題や社会運動に関わる研究者等とのディスカッションを行った。
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