2004 Fiscal Year Annual Research Report
木曽ヒノキ標準年輪曲線を用いた過去1000年間の気候復元
Project/Area Number |
15500685
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
米延 仁志 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (20274277)
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Keywords | 年輪年代学 / 年輪気候学 / 気候復元 / 小氷期 / 早春期気温 / 木曽ヒノキ |
Research Abstract |
本年度では、新たな試料の探索を行い、当初の計画(平安後期〜鎌倉時代)をはるかに越える年代範囲(AD645〜)での標準年輪曲線の延長に成功した。年輪年代学の国際的な研究機関であるハンブルク大学木材生物研究所において、年輪曲線の性能検証を行い、良好な結果を得た。また年輪年代学の国際会議(EuroDendro 2004)において成果を公表し、欧州地域での当該領域研究との比較を行った。現生木標準年輪曲線については、さらに試料を採集し、新たに二つの地域標準曲線を作成した。さらに本年度は、データ解析に着手した。応答関数解析の結果、木曽ヒノキ標準年輪曲線を用いて冬期(11-12月)、早春期(2-4月)及び夏期(7-8月)の気温の復元が可能であることが明らかとなった。またいくつかの回帰分析法を用いて、気候復元のための伝達関数を作成し、小氷期後期の早春期気温を復元した。これまでに東アジア地域で得られている気候復元結果と相互検証を行った結果、木曽ヒノキ標準年輪曲線から復元した気候はそれらと調和的な結果を示すばかりでなく、高い時間分解能で歴史時代の気候を復元できることが明らかとなった。また、年輪年代学の分野では、国際的に要求される水準で統計的に有意に検証された気候復元は、本研究が初めての事例である。この成果は、現在、投稿中である。夏期、冬期の気温については、やや復元性能が劣ることから、最終的な応答関数の確定を保留したが、最終年度には複数の地点での標準年輪曲線を用いることで十分に有意な復元を行う予定である。
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Research Products
(4 results)