Research Abstract |
本研究は,景観生態学の原理に基づいて,地域の環境特性をエコマップで表現し,衛星熱画像で捉えた市街地の温度特性をクリママップとし,両者を空間的に比較・解析して,エコトープが都市ヒートアイランド(UHII)の形成に与える影響を解明することを目的とした. 研究に先当たっては,まず東京都23区から八王子にかけての地域を10kmごとのリングに区分し,それぞれについて,TM熱画像から推定した輝度温度を土地利用別に評価し,輝度温度UHIIを試算する方法を提案した.その結果から衛星熱画像は土地利用間の温度特性の差を捉えることに有効であることが確認された. この知見をもとに,輝度温度UHIIを都市内地域間の温度特性の相違を表す指標として利用する可能性を検証した.横浜市域を対象に地域の景観生態構造を容積密度と土地利用と都市緑地を用いて解析した.容積密度は建物階数と底面形状をもとに計算した90mメッシュ内の建物容積である.容積密度の高いメッシュをポリゴンパッチとして抽出した.そして,ASTER光学画像(2002年8月10日)からMDVIを計算し,緑地パッチを抽出した.さらに,土地利用データから工業地パッチを抽出した.これらの建物パッチ,緑地パッチ,工業地パッチに対して,集塊性を評価し,クラスターへまとめてエコマップとした. そして,解像度90mのASTER熱画像(2003年11月14日22時)に対して,ホットスポット,クールスポット,ヒートアイランド,クールアイランドを抽出し,クラスター化もおこない,クリママップを作成した. 以上のエコマップとクリママップを比較した結果,両者の間に高い空間相関性が見られた.結論として,衛星熱画像から推定した輝度温度を用いて地域間の温度特性を評価することができ,また,その違いは集積の度合,面積の大きさ,土地利用の種類によって影響があることがわかった.
|