2005 Fiscal Year Annual Research Report
山風が都市ヒートアイランドに及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
15500695
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
一ノ瀬 俊明 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (30231145)
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Keywords | 都市気候 / 都市計画 / 熱環境 / 大気汚染 / 風の道 / 長野 / 山風 / 冷気流 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、長野市内のビル屋上における山風の観測を継続した。また、これまでに得られたデータのうち、自動車による移動観測で得られた気温分布図の作成および山風吹走時における気温の時間変化について解析を行った。気温分布の観測は数例を除きほとんど午後9時から10時頃にかけて行った。そのうち、2003年夏から約1年間の間に得られた20例について気温分布パターンと山風の有無について考察した。気象条件や山風発生の有無や強弱は観測日によって異なるが、おおよそ山風吹走日には裾花川の谷口から市街地中心部にかけて気温傾度が大きく、谷口に近いほど気温が低くなっていることが明らかとなった。一方、山風の吹いていない日にはそのような傾度はほとんどないか小さかった。また、長野県庁屋上(山風吹走地点)で10分ごとに測定している風向風速および気温の観測結果から、2005年のうち昼夜通して晴の日20例を抽出し、山風の侵入と気温の変化について調べた。山風が侵入して(観測されて)から数十分以内に、1℃から2℃の急激な気温低下が確認された。これにより山風の侵入は冷気の移流をもたらすことが明らかとなった。 また、長野市周辺地域におけるクリマアトラス作成のため、RAMSを用いた解像度500mのメソスケール数値シミュレーションおよび浅水方程式による冷気流数値シミュレーションを行った。前者により、典型的な7月下旬の静穏日において裾花川谷口より長野盆地へ吹き出す山風が再現され、谷口から離れた地域では再現されなかった。冷気流数値シミュレーションの結果、冷気の厚さが計算開始60分後に250m以上、風速が1m/s以上に達する地域が谷口から市街地にかけてあらわれ、観測の結果に見られた山風の吹走状況と整合的であった。長野市市街地に見られる山風は、裾花川の谷に冷気流が流下して蓄積した冷気が、谷口より吹き出したものと考えられる。
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Research Products
(4 results)