2004 Fiscal Year Annual Research Report
東インド洋熱帯域での海洋環境変動に対するENSOとインド洋ダイポールの影響
Project/Area Number |
15510011
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡田 喜裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (70224037)
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Keywords | インド洋ダイポール現象 / エルニーニョ / 湧昇現象 / リモートセンシング / SST / Chl-a / 水温躍層 / 年次変動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジャワ、スマトラ島南岸沿いに現れる海洋学的現象の年間変動のパターンを時系列リモートセンシングデータと船舶観測データを用いて調査し、インド洋ダイポール(以下IOD)現象の物理-生物間の相互関係を明らかにすることである。2年間の研究による成果として、IODの亜表層の動態を人工衛星データ(SST, Chl-a)及び船舶観測データ(水温,塩分)より明らかにした。IOD現象が5-6月にジャワ、スマトラ沿岸に沿って出現する例年より強い湧昇をきっかけに、発生することが判明した。湧昇により海表面の水温が低下し、その後に続く赤道に沿う東風が合わさり、IOD現象の成長が促進し、その結果東部インド洋熱帯域において水温躍層が深まる。IOD現象のピークは8-9月であり、ほぼ同時に西部インド洋において、例年よりSSTが高くなる事が判明した。IODが消滅する時に暖水が西部インド洋から赤道に沿って移動し始める事が判明した。また、その暖水が東部インド洋に移動することにより、東部インド洋における水温躍層は深くなり、その結果IOD現象が起きる翌年には例年より湧昇による冷却効果が弱まる事が判明した。更に、人工衛星より得られたSST、Chl-aデータからエルニーニョとIOD現象を時系列に解析した結果、エルニーニョ、IOD現象共にSSTの特徴的な変化を伴う事が判明した。しかし、Chl-aではエルニーニョ時について特徴的な変化は伴わず、IOD現象の時のみに有意な変化が確認された。この結果は、エルニーニョは東部インド洋において表層の変化を伴い、IOD現象は亜表層の変化を伴う事(Rao et al.,2002)が原因と考える。上記の結果は2004年春季海洋学会で発表された、また、2005年春季海洋学会においても発表を行う予定である。そして、研究結果をまとめた研究論文の準備は、現在進行中である。
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