2005 Fiscal Year Annual Research Report
東インド洋熱帯域での海洋環境変動に対するENSOとインド洋ダイポールの影響
Project/Area Number |
15510011
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡田 喜裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (70224037)
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Keywords | インド洋ダイポール現象 / エルニーニョ / 湧昇現象 / リモートセンシング / SST / Ch1-a / 水温躍層 / 年次変動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジャワ、スマトラ島南岸沿いに現れる海洋学的現象の年間変動パターンを時系列リモートセンシングデータと船舶観測データを用いて調査し、インド洋ダイポール(以下IOD)現象の物理-生物間の相互作用を明らかにする事である。本研究の全研究期間における研究実績を以下に記す。平成15年度:データの収集及び整理を行った。本研究室の設備を用いて、SST(NOAA/AVHRR, TERRA & AQUA/MODIS)、SSH(TOPEX/Poseidon, Jason-1)、ZWS(Quick SCAT)、Ch1-a(Orbveiw2/SeaWiFS, AQUA/MODI S)等人工衛星データを収集した。また、船舶観測によるXBT/CTDデータや溶存酸素、栄養塩、Ch1-a等の鉛直データについても収集、整理を行った。平成16年度:収集したデータの解析を行った。人工衛星より得られた20年間SST,SST偏差,風応力より得られたデータを解析し、ENSOやIOD現象の時のクロロフィル生物量の変動に影響する物理的要素の分析を行う。平成17年度:前年度に引き続き船舶データ等の解析も加え、収集されたデータの解析を行った。そして全研究成果をまとめ、東インド洋熱帯域における物理-生物学的相互作用のプロセス及びIOD現象との関係について解明を試みた。研究の結果、(1):IOD現象は5-6月において、ジャワ、スマトラ沿岸に沿って出現する例年より強い湧昇をきっかけに発生する事が判明した。(2):IOD現象のピークは8-9月であり、IOD現象と同時期に西部インド洋において例年よりSSTが高くなることが判明した。(3):IODが消滅する際に暖水が西部インド洋から赤道に沿って移動し始めること、またその暖水が東部インド洋に移動する事により東部インド洋における水温躍層は深くなり、その結果IOD現象が起きる翌年には例年より湧昇による冷却効果が弱まることが判明した。(4):エルニーニョとIOD現象を時系列に解析した結果、エルニーニョ、IOD共にSSTに特徴的な変化を伴う事が判明した、またCh1-aについてはIOD現象の時のみに有意な変化を見せる事が判明した。つまり、本研究によってIOD現象の発生、強化、減衰過程が判明した。2003〜2005年にわたる本研究結果の一部をFisheries Oceanographyに発表した(11.研究発表の項参照)。この論文は水産海洋学会論文賞を受賞した。更に、2006年2月に実施されたAGU Ocean Science Meeting in Hawaiiにおいて発表を行った。研究論文についてはJournal of Geophysical Research Letterへの投稿段階であり、現在査読中である。
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