2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気環境中に放射性核種並びに微量元素の起源と挙動に関する研究
Project/Area Number |
15510012
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 照幸 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (30139414)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 勝己 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 部長 (70343895)
|
Keywords | 大気環境 / 大気降下物 / 黄砂 / 土壌起源元素 / 人工放射性核種 / 天然放射性核種 / 中性子放射化分析 / フォールアウト |
Research Abstract |
平成17年度では、主に1964年、2000年福岡および2003-2004年川崎降下物を試料に供し、主成分分析(ICP-AES、炎光発光分光分析)及び放射化分析により、それぞれ最大9元素(Si、Al等)、27元素(ランタノイド、Th、U等)、またγ線放出核種分析では最大5核種(^<137>Cs、^<210>Pb等)が定量され、以下の知見を得た。 (1)1964年福岡降下物の全降下量は、近年試料と比較して通年において数倍から十数倍多く、特に7月、8月は13倍以上と他の月より格段に多い事が分かった。 (2)個々の元素降下量でみても、1964年福岡試料が2000年試料より通年で多いことが分かった。 (3)1964年と2000年福岡試料では1月〜5月及び10月〜12月において、土壌起源元素の組成は、大きく変わらないことが判明した。 (4)1964年福岡試料の土壌起源元素の元素降下量は、全降下量と月別変化のパターンがほぼ一致し、また、Uを除き高い相関を示した。これらのことから、1964年福岡試料において全降下量が格段に多かったのは土壌起源物質によるものであることが強く示唆された。 (5)Uの月間元素濃度は、他の土壌起源元素濃度と変動のパターンが一致せず、^<137>Csの月間放射能濃度とピークがほぼ一致した。このことから、Uの起源は、土壌だけではなくフォールアウトによるものも含むことが示唆された。 (6)ランタノイド元素間の比では、1964年試料では11月と12月のプロットが黄砂のプロットに比較的近く、2000年試料では3月と5月のプロットが黄砂のプロットに近い分布となった。これらの月では、黄砂の寄与が比較的大きかったことを示唆している。 (7)Th/Sc比の月別変化より、近年試料の方が1964年試料より黄砂の寄与が大きいことが判明した。
|
Research Products
(6 results)