2003 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度二酸化炭素条件下における日本の樹木に対する光化学オキシダントの影響
Project/Area Number |
15510023
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伊豆田 猛 東京農工大学, 農学部, 助教授 (20212946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 秀幸 電力中央研究所, 応用生物部, 主任研究員 (20371528)
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Keywords | 樹木 / 地球温暖化 / 高濃度二酸化炭素 / 光化学オキシダント / オゾン |
Research Abstract |
我が国の代表的な森林構成樹種に対する高濃度二酸化炭素(CO_2)とオゾン(O_3)の単独および複合影響を調べた。供試植物として、スギ、アカマツ、シラカンバ、ダケカンバの苗木を用いた。苗木は、黒ボク土を詰めた1/2000aワグネルポットに、ポットあたり1個体ずつ植え付けた。本研究では、CO_2、O_3ともに外気と等しい濃度または外気の1.5倍の濃度にし、両者を組み合わせて4つのガス処理区を設けた。ガス処理期間中におけるCO_2濃度の日中12時間平均値は、外気区では362ppmであり、1.5倍CO_2区では534ppmであった。また、O_3濃度の日中12時間平均値は、外気区では41ppbであり、1.5倍では61ppbであった。 9月下旬において、1.5倍CO_2区で育成したシラカンバとダケカンバの葉色が薄くなった。また、9月上旬に、1.5倍O_3区で育成したシラカンバの葉にネクロシスや褐色斑などの可視障害が観察された。10月上旬には、1.5倍CO_2区で育成したスギの葉色が薄くなった。スギの樹高増加量は、高濃度CO_2処理によって有意に増加した。また、ダケカンバの落葉数は、高濃度CO_2処理によって有意に増加した。なお、シラカンバの樹高増加量はオゾン暴露によって有意に低下した。スギとダケカンバの個体乾物成長は高濃度CO_2処理によって増加する傾向を示したが、他の樹種ではこのような傾向は認められなかった。O_3による成長低下は、いずれの樹種においても認められなかった。さらに、高濃度CO_2とO_3による有意な交互作用は、いずれの測定項目においても認められなかった。本研究の結果より、我が国の森林を構成する樹木に対する高濃度CO_2やO_3の影響には樹種間差異が存在するが、1年目においては樹木の成長や生理機能におけるO_3障害の程度にCO_2濃度は影響を及ぼさないことが明らかになった。
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