2004 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族系環境汚染物質への紫外線・放射線曝露による構造と生物活性の変化
Project/Area Number |
15510057
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
五島 廉輔 静岡県立大学, 環境科学研究所, 教授 (70046275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊吹 裕子 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (30236781)
寺尾 良保 静岡県立大学, 環境科学研究所, 教授 (60046282)
五島 綾子 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (80046284)
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Keywords | 紫外線曝露 / ビスフェノールA / 塩素化ビスフェノールA / 複合効果 / 環境ホルモン作用 / アポトーシス |
Research Abstract |
環境中に放出されたビスフェノールA(BPA)とその塩素体(3-ClBPA、3,3'-diClBPA、3,3',5-triClBPA)は紫外線照射(UVBとUVC)によりまず毒性の強い物質に変化し、さらなる照射で構造変化が進み、毒性が弱くなること及びこれら光反応生成物から塩素基が水酸基に変化した水酸化BPAが同定されたことを15年度に報告した。今年度の成果を以下にまとめる。塩素化体自身はBPAより環境ホルモン作用が高くなることが報告されているが、UVB照射によりその作用はほとんど消失した。さらに上述した水酸化BPAの内、3-OHBPAを合成し、その毒性をUV照射した塩素化体と比較した結果、3-OHBPAの生成が光反応生成物の毒性の原因の1つであることが明らかになった。しかしこの化合物の環境ホルモン作用はBPAより強かった。この理由として光反応生成物中の3-OHBPAの量が微量であるためと推察されたが今後の詳細な検討が必要である。細胞毒性のメカニズムに関して、細胞死の1つであるアポトーシスについて検討した結果、その指標であるクロマチン凝集やカスパーゼ3の活性上昇が観察された。この機構についてはネクローシスによる細胞死も含めてさらに検討が必要である。環境中で化学物質は水中だけでなく固体表面に付着した状態でも存在するので、固体界面の影響も受ける。紫外線照射時の固体界面の影響について反応液中にガラスビーズを入れて検討したが、報告できるまとまったデータを得ることはできなかった。 環境中で環境汚染物質と紫外線を含めた太陽光との複合効果は生物に影響を与えることがこの研究結果によっても明らかとなり、今後さらに詳細な研究が重要である。
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