2004 Fiscal Year Annual Research Report
PCBの甲状腺ホルモン撹乱作用における動物種差とその作用機構の解明
Project/Area Number |
15510058
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
加藤 善久 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90161132)
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Keywords | PCB / 甲状腺ホルモン撹乱作用 / サイロキシン / 動物種差 / マウス / ラット / ハムスター / モルモット |
Research Abstract |
PCBを種々の実験動物に投与し、血中甲状腺ホルモン濃度の低下とサイロキシン(T_4)の抱合酵素活性の増加との関係、あるいはT_4と甲状腺ホルモン輸送タンパク、トランスサイレチン(TTR)との結合阻害を検討し、動物種により異なると考えられる血中甲状腺ホルモン濃度の低下メカニズムを明らかにすることを本研究の目的とした。 Wistar系ラットおよびGunnラットに2,2',4',5,5'-pentachlorobiphenyl(PentaCB)およびKanechlor-500 (KC500)を投与すると、血清中total T_4濃度は両ラットとも同程度に著しく低下した。この時、Wistar系ラットにおいてT_4-UDP-glucuronosyltransferase (T_4-UDP-GT)活性およびUGT1Aの発現量は顕著に増加した。一方、GunnラットではT_4-UDP-GT活性の変化およびUGT1Aの発現は全く認められなかった。これらの結果から、UDP-GTの発現や活性上昇が見られないGunnラットでも、PCB投与により血清中T_4濃度の低下が惹起されることが明らかとなり、この低下はUDP-GT非関与の別の作用機序によることが強く示唆された。このことから、Wistar系ラットにPentaCBおよびKC500を投与した時の血清中T_4濃度の低下においても、肝のUDP-GT活性の増加以外に別の作用機序が関与している可能性が示唆された。また、マウス、ハムスター、ラット、モルモットにKC500投与し、血清中T_4濃度の低下にTTRが関与しているか否かについて検討した。ラットおよびモルモットでは、KC500によりT_4とTTRの結合阻害が起こっていることが示され、その結果、血清中T_4濃度が低下した可能性が考えられる。また、ハムスターでは、血清中T_4とTTRとの結合阻害がわずかに起こり、このことが血清中T_4濃度の低下の一部となっている可能性が考えられる。一方、マウスでは、TTRの関与は考えにくく、血清中T_4濃度の低下は、他のメカニズムにより引き起こされている可能性が示唆された。今後、さらなる検討が必要である。
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Research Products
(8 results)