2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペルフルオロアルキルテロマーアルコールの体内動態の解明とヒトにおける残存性の評価
Project/Area Number |
15510060
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
工藤 なをみ 城西大学, 薬学部, 講師 (10161647)
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Keywords | ペルフルオロアルキルテロマーアルコール / ペルフルオロオクタン酸 / 吸収 / オレイン酸合成酵素 |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデカノール(8-2テロマーアルコール)のラット及びマウスに対する生体影響を評価した。8-2テロマーアルコールを摂取させたラットの肝臓では、ペルオキシソームの数の増加及び個々のペルオキシソームの肥大が認められた。また、肝臓のオレイン酸合成を触媒する酵素であるステアロイルCoA不飽和化酵素およびパルミトイルCoA炭素鎖伸長酵素の用量依存的な上昇が認められた。このとき肝臓中にはペルフルオロオクタン酸(PFOA)の蓄積が認められた。これらの作用は、PFOAを同じ条件で摂取させた場合に比べると弱いものであった。この結果から、8-2テロマーアルコールが代謝されて一部が肝臓に残留し、ペルオキシソーム増殖と酵素の誘導を引き起こすものと考えられる。 つぎに、8-2テロマーアルコールの体内動態について検討を行なった。8-2テロマーアルコールをカルボキシメチルセルロース溶液に懸濁してマウスに経口投与したところ、消化管内に24時間以上とどまり、その後、投与量の70%以上は糞中に排泄された。投与24時間後には、脂肪組織、肝臓などに分布していたが、時間経過とともに脂肪組織からは消失した。8-2テロマーアルコールは、PFOAと異なり、消化管からの吸収率が低いことが明らかとなった。また、吸収された8-2テロマーアルコールは脂肪組織に一旦分布するがその後急速に消失することが示された。体内に吸収された8-2テロマーアルコールの消失及び代謝の過程については、現在検討中である。
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