2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペルフルオロアルキルテロマーアルコールの体内動態の解明とヒトにおける残存性の評価
Project/Area Number |
15510060
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
工藤 なをみ 城西大学, 薬学部, 講師 (10161647)
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Keywords | 8-2テロマーアルコール / ペルフルオロオクタン酸 / 脂肪酸合成 / オレイン酸 / 酵素発現 |
Research Abstract |
1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデカノール(8-2テロマーアルコール)のラットにおける生体影響を評価した。飼料に8-2テロマーアルコールを混合して摂取させたところ、血清中のトリグリセリドが低下し、また、GPT活性は8-2テロマーアルコールの用量依存的に上昇した。一方、GPT活性には大きな変化は認められなかった。血清中のアルブミンがやや増加していた。クレアチンキナーゼ活性や尿素窒素に変化は認められなかった。したがって、8-2テロマーアルコールは主として肝臓に影響しているものと考えられた。肝臓の脂肪酸量は肝臓の肥大に伴って約2倍に増加していた。中でもオレイン酸やアラキドン酸は約3倍と著しく増加した。リノール酸には全く変化が認められなかった。オレイン酸やパルミチン酸の増加はトリグリセリドとリン脂質中で認められたが、リノール酸とアラキドン酸は主としてリン脂質で増加していた。肝臓における脂質代謝酵素の遺伝子発現を調べたところ、脂肪酸合成に関与するacetyl-CoA carboxylase,およびfatty acid synthase、オレイン酸合成に関与するstearoyl-CoA desaturase(SCD)1およびpalmitoyl-CoA chain elongase(ELO)2の発現が顕著に上昇した。平成16年度で肝臓中のSCDおよびELOの活性が上昇していることを報告している。したがって、これらの遺伝子の発現が増えることによって酵素が誘導され、パルミチン酸やオレイン酸が増加するものと考えられた。また、アラキドン酸の増加には、Δ6不飽和化酵素の誘導が関与している可能性が考えられる。このような変化は、ラットにペルフルオロオクタン酸を摂取させた場合にも認められる。平成15年度に報告したように、8-2テロマーアルコールを摂取させたラットからは、肝臓や血清中にペルフルオロオクタンが検出されているので、体内に取り込まれた8-2テロマーアルコールが代謝を受けてペルフルオロオクタン酸となり、作用を引き起こしているものと考えられる。
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