2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン胎盤暴露によって誘発される脳神経伝達物質異常および精子形成期行動異常
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15510062
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
口岩 俊子 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 教授 (00270158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
口岩 聡 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90161637)
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Keywords | ダイオキシン / 胎盤・母乳暴露 / 行動異常 / 環境ホルモン / ウェスタンブロット法 / 神経伝達物質 / ノルエピネフリン / 内分泌かく乱化学物質 |
Research Abstract |
ddY系雌マウスにオリーブオイルに溶解したダイオキシン(2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin)を長期間経口投与して体内に蓄積させた。一定期間の投与を終了したのち、正常雄マウスと交配して出産させ、産子を母乳飼育し、離乳期に雌雄を分離した。多くの産子は死亡するまで飼育し、加齢に伴って変化する行動異常を調べた。さらに成熟した産子同士を交配し、第二世代、第三世代を作製して、行動異常の遺伝の有無を調査した。行動の調査には、明暗箱、高架式十字迷路、ダイナミックプランターエスシオメーター、接触刺激反応計測装置を用いた。ダイオキシンの胎盤・母乳暴露を受けた動物には、生後2〜3週に接触刺激に対してきわめて高い過敏性を示す動物が存在した。この過敏性は成長に従って一時期収まり、また生後5〜6週に再度過敏性が高まる動物が存在した。成長または加齢に従って接触刺激に対する過敏性が失われる動物も存在したが、過敏性が継続する動物も存在した。胎盤・母乳暴露を受けた動物の中には、加齢に従って四肢に運動麻痺を起こし死亡する例、また過度の脂肪蓄積が起こり死亡する例が存在した。行動異常を示す動物の多くにおいて水疱腎が発症した。対照群にも一部に接触刺激に対する過敏症状を持つ動物も存在したが、その頻度はダイオキシン投与群に比較するときわめて低く、また過敏性も小さかった。ダイオキシン胎盤・母乳暴露された動物同士を掛け合わせた子孫では、過敏症状に性差が大きく現れた。過敏症状を示すマウスの脳を摘出してウエスタンブロット法を用いチロシン水酸化酵素の定量を行い対照群と比較した。その結果、ダイオキシンは脳内のチロシン水酸化酵素に影響を与えることが推察された。
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