2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン胎盤暴露によって誘発される脳神経伝達物質異常および精子形成期行動異常
Project/Area Number |
15510062
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
口岩 俊子 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 教授 (00270158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
口岩 聡 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90161637)
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Keywords | ダイオキシン / 脳影響 / 行動異常 / 環境ホルモン / TCDD / 神経伝達物質 / 精子形成期 / 第二次性徴 |
Research Abstract |
胎盤経由または母乳経由でダイオキシンを摂取した雄マウス産子の精子形成期におけるダイオキシンの影響について行動学的調査を行ったところ、6週齢で急激に自由探索行動が減少することが明らかとなった。 雌マウスにダイオキシン(2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin : TCDD)を数週間にわたり継続的に経口投与し、TCDDを体内に蓄積させた(第一群は合計20ng/kg、第二群は2,000ng/kgを投与)。TCDDの最終投与のあと、これらの雌マウスを正常雄マウスと交配し妊娠させ、産子を得た。産子は生後28日まで母乳飼育し、その後雌雄を分離してグループ飼育した。精子形成期を迎える生後5週から雄産子についてノーズポーク課題装置を用いて行動学的調査を開始し、ダイオキシン胎盤母乳暴露を受けた雄マウスの自由探索行動と性周期の関係について調査を行った。その結果、6週齢の胎盤母乳暴露雄マウスは、同週齢の雄マウスに比較して、自由探索行動の反応回数が少ないことが明らかになった。また、胎盤母乳暴露雄マウスの自由探索行動が精子形成期に関連して減少するかどうかを検討するため、同一マウスの精子形成期前後である5週齢と6週齢での自由探索行動の比較を行ったところ、6週齢で自由探索行動が著しく減少することが明らかとなった。このことから、第二次成長期の性ホルモン分泌の脳内メカニズムの変化が胎盤母乳暴露マウスの自由探索行動低下を引き起こした可能性が示唆された。我々はこれまで、「ダイオキシン胎盤母乳暴露を受けた動物では脳内のセロトニンやノルアドレナリンに変化が現れる」ことを明らかにしてきた。この精子形成期における自由探索行動の減少は、これらの脳内神経伝達物質の変化と関連があることが推察された。
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