2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン胎盤暴露によって誘発される脳神経伝達物質異常および精子形成期行動異常
Project/Area Number |
15510062
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
口岩 俊子 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 教授 (00270158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
口岩 聡 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (90161637)
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Keywords | ダイオキシン / 脳影響 / 行動異常 / 環境ホルモン / 神経伝達物質 / 精子形成期 / 第二次性徴期 / 鬱 |
Research Abstract |
ダイオキシン(2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin : TCDD)を胎盤または/および母乳経由で摂取したマウス産子は、精子形成期または第二次成長期頃に行動異常を発現するのが観察された。この行動異常は、1)接近する物体に対してその場から逃げ去る「回避行動」、2)頭部を床敷の鉋屑につっこみ隠れる「潜隠行動」、3)身体に触れる物体を後肢で激しく連続的に蹴る「払いのけ行動」、および4)頭部付近に接近する物体に噛みつく「攻撃行動」から構成されることが明らかになった。これらの行動は正常マウスにはほとんど観察されないことから、周産期におけるTCDD摂取が原因の第二次性徴期になってから発症する異常行動であると判断された。これらの症状が鬱と定義できるかどうかを検証するため、離乳後に長期間隔離飼育を行うことによって作製された鬱モデルマウスの行動と比較したところ、ほとんどの行動が両動物で共通していることが判明した(日本解剖学会九州支部学術集会、2006)。そこで、これらの行動のうち、「攻撃行動」と「払いのけ行動」を定量的に測定することが可能な計測機器を作製し(特願2007-106303)、両者の行動を計測し、TCDD摂取動物が精子形成期または第二次成長期に発症させる行動異常を鬱症状とされる症状と比較した。その結果、両者の行動は極めて酷似することが明らかとなった。したがって、TCDDを胎盤・母乳経由で摂取した動物は生後7週から8週頃に鬱を発症すると考えられた。また他の実験から、周産期にTCDDを摂取した動物は、精子形成期または第二次性徴期のストレスに対して脆弱であることが明らかになった。周産期TCDD摂取マウスは、正常動物に比較し、継続するストレスに対し敏感に鬱症状を重症化する傾向があることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)