2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510070
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
田口 茂 富山大学, 理学部, 教授 (80089838)
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Keywords | 廃水処理 / 紫外線分解 / 除酸素効果 / 安息香酸 / 四塩化炭素 / 無機塩の効果 / 有機化合物の分解 |
Research Abstract |
水中の有機物質の紫外線分解において、溶存酸素を除去すると、分解の効率が著しく向上する。除酸素の方法として、亜硫酸ナトリウムを添加した場合、除酸素の効果以外に亜硫酸イオン自身による分解の促進効果を見出した。さらに、他の無機塩についても、分解の促進あるいは阻害効果があることを見出した。 1.安息香酸の紫外線分解における共存塩類の分解促進効果:種々の塩類の共存下で、紫外線分解の遅い安息香酸の分解速度定数を測定した。その結果、除酸素なしでも、0.1mol/Lレベルの硫酸ナトリウム、硫酸カリウムの添加によって安息香酸の分解速度が3.1〜3.4倍大きくなることを見出した。塩化ナトリウムでは分解速度が遅くなった。陽イオン(ナトリウム、カリウム)による著しい差異は見られなかった。 2.四塩化炭素の紫外線分解における共存塩類の効果:硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリムいずれの塩類の添加によっても分解速度への影響は小さかった。むしろ、亜硫酸ナトリウムによる除酸素効果が大きかった。 3.照射波長の影響:上記の塩類の添加効果は185nm+254nmを主波長とする紫外線の照射で観察されたが、254nmのみを主波長とする紫外線ではその効果は見られなかった。 このように有機物の紫外線分解が共存無機塩類によって著しい影響を受けることは、本研究における新しい発見である。この効果の発現機構など解明すべきことは多いが、この効果は、紫外線分解による水処理の新しい可能性を示唆している。
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