2003 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱化学物質の植物による回収技術の開発に関する研究
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15510082
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
中嶋 信美 独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 総合研究官 (20212087)
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Keywords | ビスフェノールA / 内分泌攪乱化学物質 / cDNA / 配糖化酵素 / 環境浄化 |
Research Abstract |
内分泌攪乱化学物質とされているビスフェノールA(BPA)はプラスチックの原料として環境中へ大量に流出している。我々は植物を用いて環境中に流出したBPAを回収する事ことを目的として、植物のBPAを吸収・代謝能力を調べた。その結果、BPAは植物体内でグルコース配糖体となり葉に蓄積する事を明らかにした。本研究では、BPAの配糖化に関わる酵素(BGT)のcDNAを単離し、より強いBPA代謝能力のある植物を育種することを目的とする。タバコ培養細胞がBPAを効率よく配糖化することから、BGTはタバコ培養細胞においては構成的に発現していると思われる。そこで、グルコース転移酵素(GTase)で保存されているアミノ酸配列からプライマーを設計しタバコ培養細胞由来のRNAを用いてRT-PCRを行い、GTaseのcDNA断片を100個得た。これらを塩基配列の類似度により分類したところ、タバコからすでにクローニングされていた6つのGTaseに分類された。これらのうち、4つの完全長cDNA(NtGT1a,NtGT10a,NtJIGT,NtSAGT)をRT-PCRを用いて単離し、大腸菌内で発現させ、BGTの活性を調べた。その結果、NtGT1aは強い活性を持ち、NtGT10aとNtSAGTはNtGT1aの半分以下の活性を持っていた。NtJIGTは活性を持たなかった。次に播種後4週間のタバコ実生を葉と根に分け、それぞれのBGT活性とNtGT1a,NtGT10a,NtSAGTの発現量を調べた。その結果、葉は根の3倍以上のBGT活性を持っていた。また、NtGT10aとNtSAGTのmRNAの発現量は葉と根で大きな差はなく、どちらも構成的に存在していた。それに対しNtGT1aのmRNAは葉で強く発現しており、根ではほとんど発現が見られなかった。
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Research Products
(1 results)