2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム進化の地球史との対比に基づく生物進化史の解明
Project/Area Number |
15510158
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡邉 日出海 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30322754)
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Keywords | ヒトゲノム / チンパンジーゲノム / 種分岐 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
ヒトゲノムとチンパンジーゲノムを用いて集団遺伝学的解析を行い、ヒトの祖先がチンパンジーの祖先と分かれた時期と、種分化が完了するまでの時間、および、それまでの遺伝子交流についての推定を行った。本研究では、時点Tpで、ヒトとチンパンジーの最終共通祖先(most recent common ancestor, MRCA)集団中において2つの小集団への分離が始まり、その後小集団間での遺伝子交流が時間とともに減少し、交流が全くなくなった時点Tsでヒト系統とチンパンジー系統への種分岐が完了する、という種分岐モデルを仮定した。この解析では、ヒトゲノムとチンパンジーゲノムの直系領域間アラインメントの中から無作為に100塩基対の独立した小領域を38,754個抽出し、その間の塩基置換率の分布に基づいて、合体時期を最尤推定した。その結果、TsとTpは実質的に同じ値になること、すなわち、種分岐がごく短期間のうちに完了したこと、また、それらの値が1.250x2N世代(Nは集団の有効な大きさ)となることが示された。本解析においては、組み換え頻度や、突然変異率のばらつきの影響をどの程度受けるかをシミュレーションによって調べ、それらが推定値に影響しうることを確認した。そこで、今後、領域間での組み替え頻度や突然変異率のばらつきに関するデータを集め、それらを用いた解析を実施することとした。本研究は、University of Texas Health Science Center at Houston, School of Public Health, Human Genetics Centerの印南秀樹助手との共同研究であり、成果をJournal of Molecular Biology and Evolutionに投稿し受理された。
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Research Products
(1 results)