2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウスアンチセンスRNAの機能解析とX染色体の進化
Project/Area Number |
15510161
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清澤 秀孔 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, 開発研究員 (30295422)
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Keywords | アンチセンスRNA / non-coding RNA / 遺伝子発現 / マイクロアレイチップ |
Research Abstract |
この研究課題を開始する以前に我々がマウス・トランスクリプトーム解析により同定したアンチセンスRNA(natural antisense transcript、NAT)遺伝子は2500個にも及んだ。その他、ヒト、線虫、ショウジョウバエ、シロイヌナズナ、イネなどでも次々、数百個以上のNATが同定されるに及んで、これらNATには、二本鎖RNA(dsRNA)形成等、もしくはその他のしくみにより、対応するセンス鎖遺伝子の発現調節を担う普遍的な遺伝子調節機構があるのではないかと考えられるようになってきている。我々はまず、インフォマティックス的に同定したセンス・アンチセンス遺伝子対が実際の組織で発現しているかを検討するため、センスRNAとアンチセンスRNAを区別して解析できるオリゴDNAマイクロアレイチップ(約2000組のセンス・アンチセンス遺伝子)を作成して発現解析を行った。その結果、そのほとんどの遺伝子(90%以上)がいずれかの主要組織(脳、心臓、精巣、繊維芽細胞)で発現していることを確認した。また、センス鎖遺伝子とアンチセンス鎖遺伝子の発現の比は組織によって異なり、組織特異的パターンがあることが判明した。代表的なセンチ・アンチセンスRNAの発現をノーザンブロットで解析したところ、非翻訳性のアンチセンスRNAはcDNAとして単離されたものより実際は巨大RNA分子(10kb以上、ノーザンブロット上でスメアとして検出される)として、主に核内に存在していることがわかった。これらの結果はNAT特有の発現及び発現調節機構の存在を示唆すると考えられる。
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