2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510180
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60217502)
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Keywords | DNA点変異 / バルジDNA / 核酸塩基 / 糖 / ハイブリッド / DNA融解温度 |
Research Abstract |
本研究課題における本年度の研究として、核酸塩基-糖ハイブリット型人工分子によるDNA点変異であるバルジDNAの識別に関する研究を行った。ポストゲノム研究として重要な遺伝子診断において、DNAの点変異を高精度に検出することが不可欠である。本研究では、DNA点変異の一つである、バルジDNAの検出を目的とし、人工分子を利用したバルジDNAの認識について検討した。すなわち、人工分子として、バルジ塩基にそれぞれ相補的なDNA塩基と適度に疎水化されたアミノ糖を縮合させた核酸塩基-糖ハイブリット型人工分子を分子設計した。また、核酸塩基とアミノ糖とを効果的なN-グリコシル化反応により連結し、化学合成した。その結果、シトシンとアミノ糖を連結したハイブリット型人工分子は、G-バルジDNAに対して、DNAの融解温度(T_m)の上昇を引き起こすことが確認された。一方、完全相補的DNA、A-バルジDNA、C-バルジDNAおよびT-バルジDNAにおいては、Tmの上昇は観察されなかった。また、核酸塩基-糖ハイブリット型人工分子における核酸と糖との距離が重要であり、核酸塩基と糖がエチレングリコールを介して連結した人工分子の認識能は、直接連結したもののそれより小さいことが確かめられた。以上の結果より、本研究において分子設計、化学合成した人工ハイブリット分子は、G-バルジDNAを特異的に識別し、安定化する新物質であることを見出した。これによって、病気の発症における遺伝素因であるSNP(一塩基多型)を、高度かつ簡便に診断する新たなDNA解析技術の基礎を提供することが出来た。
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