2003 Fiscal Year Annual Research Report
西太平洋地域の干潟に生息する巻貝類とそれに寄生するセルカリア類の現状と保全
Project/Area Number |
15510192
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
原田 正和 香川大学, 医学部, 助手 (90127580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村主 節雄 香川大学, 医学部, 助教授 (00032897)
|
Keywords | 干潟 / 巻貝 / セルカリア / タイ / 吸虫 |
Research Abstract |
本年度は、日本国内の状況と比較するため、タイの東部21地点および南部52地点、韓国西海岸6地点の干潟において巻貝を採集し、セルカリアの検索を行った。タイの東部干潟では検査された22種類の巻貝から7種類のレジアおよびセルカリアが検出された。セルカリアが検出された貝は7種類で、Cerithidea cingulataは9地点から採集され4種類のセルカリアが、C.quadrataは5地点から採集され3種類のセルカリアが、C.djadjariensis は3地点から採集され2種類のセルカリアが見い出された。しかしC.alataは5地点から採集されたがセルカリア感染はなく、C.obtusaは1地点のみで極少数しか採集されず、セルカリアも検出できなかった。また、Sermyla riquetiは4地点で採集され2種類、Cassidula aurisfelisは4地点で採集され1種類、Littoraria cariniferaは6地点で採集され1種類のセルカリアがそれぞれ検出された。タイ南部では各干潟でCerithideaの多様性が高かったがセルカリア感染率は東部より低かった。しかし東部では見られなかったセルカリアが検出された。韓国では6種類の巻貝を検査したがセルカリアは検出されなかった。 日本とタイの干潟を比較すると、日本の大きな河川の河口域は護岸工事などのため自然の状態はほとんど失われており、干潟も消失している場合が多い。これに対してタイでは海岸地帯は汽水の低湿地帯が非常に広く、マングローブ林が発達している所もある。また、干潟の上に人の住居が造られていることもあり、タイでは有機物による汚染や、界面活性剤汚染も進んでいると思われる。総じてタイの干潟では巻貝類の多様性は日本より高いが、C.obtusaの様に分布が限られている種もおり、日本と同様生息環境は悪化しているのではないかと考えられる。日本では水質汚染は改善されつつあるが、環境破壊による住み場所の消失により巻貝類の生存が脅かされており、タイでも一部の巻貝は個体数が非常に減っており、今後も環境汚染が続くと絶滅の危機にたたされる巻貝が出てくると思われる。
|
-
[Publications] Sri-aroon, P., C.Lohachit, M.Harada: "Survey of brackish-water snails in eastern Thailand"Southeast Asian J Trop Med Public Health. (in press). (2004)
-
[Publications] Ishikawa, H., A.Ishii, N.Nagai, H.Ohmae, M.Harada, S.Suguri, J.Leafasia: "A mathematical model for the transmission of Plasmodium vivax malaria"Parasitol.Int. 52(1). 81-93 (2003)
-
[Publications] Asada H, et al.: "D4+ T-lymphocyte-induced Epstein-Barr virus reactivation in a patient with severe hypersensitivity to mosquito bites and Epstein-Barr virus-infected NK cell lymphocytosis"Arch Dermatol. 139(12). 1601-1607 (2003)
-
[Publications] 高 静花, 堀本幸昌, 壇上幸孝, 岡田正直, 村主節雄, 原田正和: "大阪市居住者にみられた東洋眼虫寄生の1症例"日本眼科紀要. 54. 47-50 (2003)