2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の「国民化」と「人種化」に関する歴史的考察
Project/Area Number |
15510199
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (70262095)
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Keywords | ナショナリズム / 人種 / 集合的記憶 / メディア |
Research Abstract |
本年度までの課題であったアメリカ合衆国の「国民化」に関わる文献として、ナショナリズムやパトリオティズムをキーワードとする研究書・研究論文(邦語・英語)と、戦争の記憶・国民としての集合的記憶に関わる文献の収集作業が完了した。また、研究実績としては、現代アメリカの出発点となる南北戦争期のナショナル・シンボルの検証作業において、「血染めのシャツを振る」という北軍兵士の死に纏わる連邦政府・共和党系メディアの戦略に着目して、兵士の死とナショナリズムの相関関係に関わる分析を行い、オリジナルな研究成果をあげることができた。これは、昨今のイラク戦争におけるアメリカのメディア戦略、ブッシュ政権下でのCIAなどの情報操作、広報活動でもその世論操作の技術は応用されていることから、今後も時代を追ってメディア史としても検証可能なテーマであると考える。 また、一方の「人種化」に関わる文献も、移民のホワイトネス研究に関する文献を中心に収集がすすみ、これにあわせて、黒人研究やアジア系アメリカ人に関する表象研究の文献をも収集することができた。また、ひきつづき、Harper's Weekly誌に掲載されたトマス・ナスト(Thomas Nast)の諷刺画、総数2188枚のうち、約1000枚のスキャナーによる読み込みが完了した。残りの部分については、最終年度となる平成17年度で読み込みを完了させ、ホームページ上での公開と、ハードコピーでのデータベース化の作業を完成させることとしたい。また、人種化については、別の科研プロジェクトとの共同研究の成果として、19世紀のアメリカのナショナリズムと人種主義とのかかわりを概観した論考をまとめることができた。この成果は、名古屋大学出版会から『アメリカニズムと人種』というタイトルで近刊予定である。
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Research Products
(2 results)