2004 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの聖者信仰研究に基づくイスラーム文化の多元的理解の枠組みの構築
Project/Area Number |
15510201
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
外川 昌彦 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (70325207)
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Keywords | 聖者信仰 / バングラテシュ / イスラーム / ヒンドゥー |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の2年目にあたり、引き続きバングラデシュを中心とした南アジア社会での資料の収集とフィールド・ワーク、関連資料の収集を行なった。具体的にはダッカのバングラ・アカデミー、ダッカ大学、ジャハンギルノゴル大学、インディペンデント大学、イスラーム大学などでの資料収集と、関連分野の研究者との意見交換を行なった。また、チッタゴン県マイズバンダル廟と、クシュティア県のラロン・フォキル廟を中心とした現地でのフィールド・ワークを行なった。特に、チッタゴン県のマイズバンダル教団においては、今日も隆盛を見せる聖者廟を中心とした教団組織の展開を、スーフィー教団の保持する聖者をめぐる固有の観念を通して形成される霊的系譜と血縁的系譜の展開として捉え、その教団組織の拡大の背景を明らかにした。また、ラロン廟におけるイスラーム文化とヒンドゥー文化の接触・習合を通した特異な世界観の形成と、そのラロン廟の世界を取り巻く現代のバングラデシュにおけるイスラームをめぐる政治状況との関わりについて、調査を行なった。これらの一連の研究は、特にマイズバンダル教団の事例は、東大出版会の『イスラーム地域研究叢書』の一部として、「バングラデシュのマイズバンダル教団における血縁的系譜と霊的系譜」と題して刊行された。また、雑誌『アジア社会文化研究』には、「バングラデシュのイスラーム聖者廟における歴史伝承と系譜的事実-バゲルハートのカーン・ジャハン・アリ廟の事例から」と題した論考が掲載された。さらに、これらの研究成果として、以下のタイトルで、様々な学会、研究会などで報告された。 「バングラデシュのある聖者をめぐる宗教と政治」(中四国人類学談話会・県立広島女子大学・5月)、「インド・ベンガル地方の聖者信仰における植民地主義と宗教」(日本文化人類学会・東京外国語大学・6月)、「ベンガル文化紹介講座-バングラデシュの聖者信仰について」ベンガル語夏期研修・東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・9月)、「南アジア世界における聖者信仰・スーフィズム・タリーカに関する研究動向-ヒンドゥー社会研究との比較から」(イスラーム世界研究談話会、京都大学・アジア・アフリカ研究研究科・9月)、「バングラデシュの独立戦争とインド-セキュラリズム憲法の形成を通して」(日本平和学会・中四国地区研究会、広島大学・大学院国際協力研究科・平和協力フォーラム共催シンポジウム・「日本の平和協力を考える」・10月)。
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Research Products
(3 results)