2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510211
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
竹村 和子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (10155046)
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Keywords | 公共圏 / 親密圏 / フェミニズム / ジェンダー理論 / 暴力 / 正義 / 言説 / 権力 / 表象 / 英語圏文学 / 文化 / ポスト国家 / ポスト家族 |
Research Abstract |
今年度の研究とその成果は、以下の3方向にまとめられる。 (1)《親密圏/公共圏》の理論的再考を、昨年に引き続いて、おもに両者のインターフェイスに発生する「暴力」に焦点をあて、とくに新しいかたちの暴力の再配備を考察したことである。具体的には4つのシンポジウムにおいて、現在戦場であるいは私的領域で行使されている暴力が、はたして性を基軸に配備されたものと説明できるかどうかに焦点を当てた。フーコーが理論化した主体概念は「生」の政治学を志向するものだが、「死」の政治学ともいえる「脱主体化」の理論を、社会構築的視野および精神分析的視野の両面を融合させてアプローチする方策を探った("The Future of Sexual Difference and the New Deployment of Violence"[Judith Halberstam講演への応答]、"Violence-Invested (non)Desire : Global Phallomorphism & Lethal Biopolitics"[「暴力の再現前とジェンダー配備」シンポジウムでの発表]、「ナルシシズムの変容と性的差異」[「9/11以降のグローバリゼーションとジェンダー」シンポジウムでの発表]、「カウンセリングという政治学」[「メンタルヘルスの新しい地平」シンポジウムでの発表]であり、最初の二つはすでに活字で発表)。 (2)表象分析においては、子どもの位置づけをめぐる《親密圏/公共圏》の考察を試みた。具体的には、「パールはその役割を終えたのか」[米国のホーソーンの代表作『緋文字』における非嫡出子の問題、日本ホーソーン協会全国大会シンポジウムでの発表]、「血わき肉おどる冒険談に読みふける少女」[冒険物語の女子読者の受容論、イギリス児童文学会全国大会の講演原稿]であり、今後これらを論文の形で発表する予定である。 (3)その他、いくつかの関連翻訳、種々の論文、エッセイ、対談、鼎談などをおこない、多面的な成果発信を心がけた。
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Research Products
(8 results)